万能にみえるショートストロークエンジンのデメリットとは?
多くのガソリンエンジンでは、1本のスパークプラグで混合気を着火するがビッグボアになると炎が端まで届きづらく、しっかり燃え広がらないというネガが出てくる。端のほうまで燃焼するのを待つことになると結果的にエンジン回転数を上げることができなくなる。極端なビッグボアエンジンでパワーを稼ぐことは、かえって難しくなるのだ。
ロングストロークの特徴は、まさにショートストロークの逆だ。ボアが小さくなるため「きれいな燃焼」をさせやすい。バルブが小さめで、同じエンジン回転数ではピストンスピードも速くなってしまうが、そもそも高回転まで使わない燃費重視のエンジンを想定しているのであれば、そこはデメリットにならない。
そのため、経済性や環境性能へのニーズが高まっている昨今では、新型エンジンはロングストローク化させることがトレンドとなっている。
身近なところでいえば、軽自動車のエンジンは軒並みそうした方向で進化しているといえる。
たとえばホンダN-BOXのエンジンを振り返ると、初代モデルに搭載された「S07A」型はボア64.0mm×ストローク68.2mmだったが、現行モデルに積まれる「S07B」型はボア60.0mm×ストローク77.6mmと超ロングストローク型だ。
スズキも同様で、ひと世代前に開発された「R06A」型はほぼS07Aと同じボア64.0mm×ストローク68.2mmだったのに対し、最新世代の「R06D」型はボア61.5mm×ストローク73.8mmになっていたりするのだ。