発売直後のド新車が中古車屋に並んでる……ってなぜ? 転売以外にも理由があった「すぐ手放すオーナー」の事情 (2/2ページ)

ユーチューバーやお金持ちは早々にクルマを手放しがち!?

 しかし、世の中を生きる人にはさまざまな事情があり、人生もいろいろである。勢い込んでエクストレイルのG e-4ORCEを購入したものの、その2カ月後に勤務する会社が倒産。資金計画が完全に狂い、エクストレイルは手放さざるを得なくなった――という人だっているだろう。

「倒産の予兆を見抜けなかったのか?」と責めることもできようが、世の中には、さんざんイケイケで金持ちっぽい空気を振りまいておきながら粉飾決算を繰り返し、いきなりどこかへ飛んでしまうベンチャー企業経営者もいる。そんな会社であれば、倒産の予兆というのもなかなか見抜けるものではない。

 そのほか最近では、「クルマ系ユーチューバーだから」という理由も、一部ではあるだろう。近年は「注目のニューモデルが登場するたびにそれを自費で購入し、メーカーへの忖度まみれな(?)モータージャーナリストなんぞよりも役立つ、あくまでオーナー目線のリアルリポートを発信する」というタイプのユーチューバーが人気を集めている。

 で、そういったユーチューバー各位のなかには、購入後しばらくの間は本当に所有して実際に日々使用し、リアルで真摯なリポートを発信している人もいる。とはいえ、そういった人でもある程度早い時期で売却しないと(クルマを入れ替えないと)お金もネタも続かないため、どうしたってある程度早いタイミングで、購入したニューモデルを売却することになる。

 また、クルマ系ユーチューバーの一部には「バーチャル」もいるかもしれない。いちおうニューモデルを買うには買って「証拠」を見せるのだが、超ソッコーであまり損なく売却し、その後は「保有し続けてるふり」をしながら動画を配信し、数字を稼ぐのだ。まぁわからないが、もしもそういったバーチャル系ユーチューバーがいたならば、「つい先日デリバリーが始まったばかりのニューモデル」がソッコーで中古車市場に出てくるのも何ら不思議な話ではない。

 最後の理由としては、「富裕層または準富裕層だから」というのがあるだろう。これは一般的な国産車ではなくプレミアムでハイパフォーマンスな輸入車において顕著な例だが、彼ら・彼女らの一部は、買ったクルマの走行距離をせいぜい3000kmぐらいまでしか延ばさず、割と早いタイミングでとっとと別のクルマに乗り替えてしまう。

「ほかにも乗るクルマを何台か持ってるから」というのも距離が延びない理由のひとつだが、それよりも「走行3000kmを超えるとリセール価格が下がってしまうから」という理由のほうが大きい。

 彼ら・彼女らの一部は次々と高いクルマを買うわけだが、その再販価値が下がらないように、じつはしっかり計算しているのだ。つまりは「合理的で賢い」ということであり、「お金持ちほどケチというか、お金に細かい」というよくいわれる俗説を、地で行っているわけである。

 逆に私なんぞはそういったことをいっさい気にしないタチであるため、いつまでも貧乏街道をひたすら邁進する結果となっている。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

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