この記事をまとめると
■軽自動車の高速料金を値上げすることを国土交通省が検討している
■軽自動車の比率が増えたり、トール系やEVが出たことで重量が増したことが関係している
■普通車も同じく電動化によって重くなっているので、軽だけが悪いとはいい切れない
軽自動車の高速料金が上がる!?
高速道路などの通行料金は、普通車を1とした場合、軽自動車は0.8、マイクロバスなどの中型は1.2など、料金に差が設けられている。特大車になると、2.75で、普通車の2倍以上だ。
等級がわけられる背景にあるのは、道路の占有率(利用するクルマの台数など)や、車両重量などによる道路への負担、クルマによる恩恵を考慮した受益者負担といった考え方を総合して定められている。現在の料金比率は、1989年から変わっていないという。
それから35年たって、軽自動車の利用比率が5%弱から15%まで増加し、新車販売で3〜4割近くを占めるまでになっている。つまり、軽自動車の恩恵を受ける人が増えたという受益者負担が増加した。
加えて、電気自動車(EV)の登場などにより、軽自動車といえども車両重量が増加する傾向である。これは、道路への負担を高めるということだ。また、軽自動車と同じ料金体系にある二輪車との格差が広がっている。
こうしたことから、軽自動車の料金を値上げすることが、国土交通省で検討されており、2024年の秋冬あたりから議論を進めるようだ。
通行料金の等級が現行となった1989年の10年後に、軽自動車は現在に至る規格へ車体寸法が拡大され、衝突安全性能の向上とともに車両重量が増大した。そこに、電動化なども加わるので、重量増は今後の方向性のひとつかもしれない。
一方、普通車全体もSUV(スポーツ多目的車)の増大により車両重量は増しており、道路への負担や、販売好調による台数の増加は起きているはずだ。それによって、大柄なSUVに乗っている人と、EVになって車両重量が増したとはいえ軽EVに乗っている人で、道路の使用や道路への負担で差が縮まったとは考えにくい。
さらにいえば、軽EVは、小型車に乗る意味を薄れさせるような性能や快適性を備えている。EVでなくても、近年のハイトワゴンやスーパーハイトワゴンの軽自動車は、利便性や室内空間の広さで小型車に乗る意味を失わせる商品性を備えた。その結果、市場占有率が増加したのであり、その傾向が強まれば、道路への負担や環境負荷を含め、有料道路を傷める要因は、これまでの普通車に比べ減る傾向となるのではないか。
軽自動車の存在価値をより認め、消費者が購入を希望する意思が強まるほど、環境にもよく道路の保守管理にも貢献するクルマ社会となるだろう。
既得権を前提に、単に個別の車種の台数が増えたり、環境性能や快適性向上のため電動化することで増えたりする重量を目の敵とし、軽自動車に利用の負担を増すような発想や政策は、短慮としかいいようがない。