血の気が多いドライバーは職人気質!?
コロナ禍で運行休止し、いまも路線再開していないところも多いと聞くが、都心部では路線バス事業者が深夜に帰宅する酔客などを対象として「深夜路線バス」が頻繁に運行されている。正規の路線バスの運行が終了したあとに、料金は若干割高とはなるが、終電間際に合わせて特別に運行していた路線バスのことである。
この存在は、当然タクシーの売り上げに悪影響を及ぼすのは必至なので、駅前ロータリーでは、たびたびタクシー運転士とバス運転士のバトルが展開されたといった話も聞いている。
同じグループ内で鉄道事業、バス事業、タクシー事業を展開しているケースでも、それぞれ別会社扱いになることもあり、これらは決して風通しのいい状況ではないとも聞いたことがある。
逆にいい意味でいうなら、それぞれ「仲間意識」が強い業界ともいえる。タクシー運転士としての経験がなく、運行管理者としてタクシー会社に転職してくる人も少なくないとも聞く。初めて運転士に自己紹介すると、たいてい「どこでハンドル握っていたのか」などと運転士から聞かれることもあるそうだ。
首都圏のあるタクシー会社では、運転士未経験者であっても入社時に二種免許を取得させ、短期間となるが都内で実際にタクシーを運転させてから本配属させているとも聞いたことがある。これは、運転士経験がないとかなり見下されるというのが影響しているとのことである。バス事業者に出入りしている業者の人からも、免許を持っているだけで仕事がやりやすいとも聞いたことがある。
このような動きが、旅客運送事業ならば利用者を「安心・安全に送り届ける」といったことに悪影響を与えることはないと考えている。むしろプロ意識のあらわれのひとつなので、武闘派などともいわれることもあるが、職人気質の強い運転士ほど事故や違反、苦情が少ないとも聞いている。しかし、このような職人気質の運転士は減少傾向にあり、サラリーマン的な運転士が目立ってきているのは、バス・タクシー業界が大好きな筆者としては少し寂しく感じている。