車名を知らなくても「タカとユージ」のクルマといえば誰もがわかった! 「あぶない刑事」で一気にメジャー化した2代目レパード (1/2ページ)

この記事をまとめると

■「あぶない刑事」で主人公たちが乗っていたことで一躍有名になった2代目日産レパード

■先進性をアピールしてデビューしたライバルのトヨタ・ソアラに対抗すべく2代目レパードが1986年に登場

■V6エンジンと走りの良さを武器にソアラに挑んだが販売台数ではまるで勝負にならなかった

あぶない刑事での活躍が2代目レパードを人気者に押し上げた

「タカとユージ」と聞いて心が沸き立つのは、もはや40代でも後半の人でしょう。30代に至っては「アブデカ」……なにそれ? 「あぶない刑事」……あー数年前に映画やってたよね。という認識でしょうか。主演の柴田恭兵も舘ひろしも、いまはお父さん役を超えて、スタイリッシュなおじいちゃん的な領域に入ってしまった感があります。

 1986年に放映開始された刑事ドラマ「あぶない刑事(デカ)」は、放映を重ねるたびに人気が増し、往年の「西部警察」の勢いを彷彿とさせるブレークを起こしました。当時、がっつりハマっていた友人の案内で、ロケ地となった本牧の街巡りをしたのはいい思い出です。

 ともあれ、刑事ドラマといえばカーアクションは必須です。もちろんこの「あぶない刑事」でもカーアクションは重要な位置づけを担っていました。ポイントになるのはその車種選択です。

 タカとユージが乗りまわして現場に駆けつけるクルマの魅力も物語にとって重要な項目です。刑事というよりはホストといった方がしっくり来るようなモード系のスーツに身を包んだスタイリッシュなふたりの刑事。そのふたりが乗る車種は、当時の20〜30代の“とっぽい”おニーちゃんたち誰もが憧れていた「ハイソカー」の2大車種の一角である「日産レパード」だったんです。

「公用車に高級クーペのレパードなんてあり得ないね」と理性では考えていましたが、単純に「カッコイイ〜〜」という、キャラクターと作風とのマッチングの魅力の前にはどうでもよくなってしまい、結果として「いつか乗りたい」と思わされていました。

 ここでは、そんな憧れの対象だった2代目・F31型「レパード」について掘り下げてみたいと思います。

■トヨタ・ソアラと人気を2分するイメージリーダー車的な存在

 1970年代の後半までは、日産のスペシャルティカーのポジションには「ローレル」が就いていましたが、景気がよくなるにつれて徐々にラグジュアリーさが求められるようになり、より高級路線へシフトしていきました。

 その流れを受けて企画されたのが「レパード」です。ローレルの車格では、好景気で羽振りのよくなったリッチ層の所有欲を満足させられなくなっていました。

 一方で、その当時の日産の最上級モデルは「セドリック/グロリア」で、その2ドアセダン・モデルがヤングリッチ層を受け持つ構成でしたが、「セドリック/グロリア」は格調を重視して作られた車種のため、ターゲット層の年齢が高すぎてヒットしませんでした。

 企画を進めるに際して白羽の矢が立ったのが、当時北米市場で最高級車の位置づけだった「マキシマ」です。「マキシマ」は「ブルーバード」をベースにしてエンジンルームを伸ばし、6気筒エンジン搭載して車格を引き上げた車種です。

 4ドアセダンとワゴンの2タイプでしたが、それを国内のリッチ層にあてる高級パーソナル・クーペ(※)に仕立て、1980年に発売されました。

※オトナの事情でブルーバードの後継車として販売されたため、セダンボディも用意されていました。

 ライバルとなる「トヨタ・ソアラ」の発売はその翌年でしたが、目新しい装備に乏しかった「レパード」に対して、デジタルメーター、タッチパネルなどのわかりやすい先進装備が盛りだくさんで、エンジンも全グレード6気筒が用意されたソアラの強力な商品力の前に、販売台数では後塵を拝するカタチになってしまいました。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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