この記事をまとめると
■交通事故の原因を突き止める「交通事故鑑定人」という人たちがいる
■事故原因を客観的に見られるスキルや、現場を見てきた経験などが要求される
■交通事故鑑定人のほか「交通事故調査分析センター」という機関も存在する
交通事故を客観的な視点で判断しなければならないケースは多々ある
交通事故では、当事者同士の主張が食い違うことがあります。客観的な証拠があれば、交通事故の過失割合などを判断しやすいものの、客観的な証拠がない場合は過失割合などの判断が難しくなるため、交通事故をシミュレータで再現したり、専門家に意見を聞いたりするなどをして、客観的な視点で過失割合などを判断しなければなりません。このようなときに活躍するのが交通事故鑑定人です。では、交通事故鑑定人とはどのような人で、どのようにすれば交通事故鑑定人になれるのでしょうか。
交通事故鑑定人とは?
交通事故鑑定人とは、交通事故の原因や事実関係を調査する人のことです。ひと言でいってしまえば、交通事故鑑定人は交通事故に関する専門家となります。また、交通事故鑑定人の証言や報告書は、裁判や損害賠償請求の有力な証拠のひとつとして扱われることもあるため、公平な立場で交通事故を分析しなければなりません。つまり、交通事故鑑定人は被害者の感情や加害者の心情などに流されずに交通事故を分析する必要があります。
交通事故鑑定人の資格はある?
交通事故鑑定人は、国家資格などといわれる資格制度がありません。そのため、誰でも交通事故鑑定人になることができます。ただし、交通事故の分析能力が求められるだけでなく、客観的で公平な報告書を作成しなければならないため、交通事故の現場に携わってきた経験や裁判・損害賠償請求などで証拠として認められた実績がなければ、交通事故鑑定人と名乗ることはできないでしょう。
交通事故鑑定人の将来
最近では、クルマにドライブレコーダーを装着する人が増えました。そのため、交通事故鑑定人が交通事故を分析しなくても客観的な視点で交通事故を見ることができるケースが増えています。
ただし、ドライブレコーダーの映像が前方のみ・前方と後方のみ・前方と車内のみといった限定された部分だけの記録の場合や、視界不良による解像度の低さなどにより、証拠不十分として主張が認められないことも考えられます。ドライブレコーダーに記録されていない部分の事故原因の分析や客観的な視点から交通事故の全容を解明するためにも、交通事故鑑定人は今後も需要があるといえるでしょう。