EVならではの緻密な4輪制御でお行儀のいいソルテラ
こうして一般的な使い方を行ったあとに、いよいよ雪道に足を踏み入れる。そこで感じることは、やはりスバルのクルマなのだなということだった。トヨタbZ4Xとは足まわりのセッティングを変更し、安定方向に振られたことで、とにかくリヤを破綻させない感覚で駆け抜けて行く。
走り出しからジワリジワリとトラクションを重ねて行くマナーのよさは、緻密な制御を行うEVらしさが光っている。瞬間的にスリップするような恐怖感はなく、ほぼスリップなしといった感覚。きっちりと調教し、リニアにトルクを生み出せている。そこにEVならではの低重心、そして前後重量配分のよさなどが相まって、まさに地を這うかの如く雪面を行くのだ。
下り坂に入ればパドルシフトによって回生力を選択できることも有難い。ブレーキペダルを踏めばあっという間にABSが作動するような状況でも、4輪に回生ブレーキがうまく働くことで、不安感なく坂道を下ることができた。
アウトバックを引き合いに出すのも気が引けるが、ガソリン車の場合はこうはいかない。トルクの盛り上がりにはどうしてもムラがあり、駆動の抜けやすさや制御の荒さが雪道では見えてくる。スリップしてスタビリティコントロールが働き、またスリップしてスタビリティコントロールが働く……。そんな繰り返しをしながら、極端にいえばギクシャクしながら走って行くのだ。
また、重心も高く切り返しなどではそれを利用して一気に向きを変えているようなところもある。振り子のように左右に積極的に荷重を移動させ、コーナーをクリアできる人なら面白いかもしれない。ただ、やはりそれではマニアックすぎるし、スムースにコーナーリングしていくのが理想だろう。もちろんそれらはEVと比べたらという話であり、ガソリン車でしかもシンメトリカルAWDが備わるのだからどちらかといえばスムース。
けれども、ソルテラ改良モデルと比べてしまうと、はやりギクシャク感は否めない。それだけソルテラ改良モデルのスムースさやマナーの良さが光っているのだろう。
こうしていま着実に進化を果たしたソルテラ改良モデルは、明らかに従来よりも普通に使えるようになったことは明らかだ。スバルの、それも四輪駆動ともなれば、寒冷地での性能がきっちり出ていなければと改良を行ったことは、いまきちんとした成果を見せてくれた。これならスキーだって積極的に行けるだろう。
もちろん、充電インフラなど課題はまだまだ山積しているが、まずは第一関門をクリアしたということは紛れもない事実のようだ。