クルマが飛び跳ねる! 三点倒立する! これぞアメリカンカスタム感のある「ローライダー」ってそもそも何? (2/2ページ)

昔からあるローライダーの価値が爆上がり中

 こうしたカスタムは、当初「ロー&スロー」スタイルと呼ばれ、クルーザーよろしくLAの街をゆったりと流していたそうです。これまた、ホットロッドのブイブイ飛ばすスタイルとは一線を画していたのかもしれません。

 黎明期から存在するローライダーのクラブ「ロー ライダーズ オブ ボイル ハイツ」や「ウィッティア ブールバード クルーザー」などには、当時の資料や面白コメントが数多く残されていますので、詳しく知りたい方はチェックしてみてはどうでしょう。

 さて、ロー&スローな走りに変革が起きたのはローダウンサスペンションに飽きたりなくなったオーナーが車高調システムにハイドロを使ったのがきっかけだったとされています。はじめはフロントサスの上下で(おそらく段差越えのため等)だったものが、フロント/リヤで独立あるいは4輪独立でポンプを装着。この際に駆動用バッテリーを増設することでフロントを下げ、リヤは前のめりな姿勢、あるいはどこか1輪ぶんだけ車高が高くなるような、およそクルマとは思えないポーズまでとれるようになっていったのです。

 さらには、油圧シリンダーを高電圧制御することで伸び縮みスピードも高速化。あわせてポンプを緻密に制御することでローライダーはついに飛び跳ねること、いわゆるホッピングを可能としたのでした。

 ローライダーが日本で本格的に流行り始めたのは1980年代といわれていますが、そこから日本らしいカスタムも生まれ、本場に取り入れられているものも少なくないようです。

 たとえば、インテリアのきめ細かなブラッシュアップや、ペイント技術についても日本発祥の凝ったものがいくつもあるようです。また、日本人ながら渡米して、現地でローライダーファクトリーを創設し、大人気を博している方もいるといいますから、驚きつつも嬉しくなるエピソードではあります。

 もっとも、最近では素材となるクルマが軒並み高騰しているだけでなく、ご想像のとおりカスタムのコストはかなりのものとなるため、昔ほどたくさんのローライダーが生まれていない現状もあるとか。そのぶん、昔からあるローライダーマシンが大事にされ、オリジンの価値がどんどん上昇しているとのこと。

 最高速カスタムや痛車といったカルチャーと同じく、ローライダーも末永くクルマ好きを楽しませてほしいものです。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報