「とりあえずクルマを買う」みたいな時代ではなくなった
筆者の若いころ(バブル経済末期)には、男子は社会人になると可能な限り早く自分のクルマを購入していた。新卒社会人ぐらいの男子が集まれば「お前はどんなクルマを買うんだ」という話で盛り上がっていたものである。
当時の男子といえば、「フルローンで高額スポーツカーを購入し、食事はカップラーメンでしのぐ」といったイメージの人も多かったが、いまどきの「コスパ(コストパフォーマンス)」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する若者から見れば、到底理解されないこととなるのかもしれない。
若者を取り巻く社会環境も変わってきているほか、安全支援装備の充実などもあり、新車の車両価格はバブル経済のころに比べればかなり高くなっている。これもみなさんご承知のとおり、日本ではバブル経済崩壊から今日までの30年間は給与水準がほぼ横ばいで推移しており、若い世代ほど負担が重く、将来への不安が多すぎて「社会人になったからクルマ買って乗りまわす」ということもなかなかできなくなっている。
そのなかでも、東京など大都市を除けば、通勤手段など日常生活の移動手段としてはクルマに頼るしかない地域が多いのだが、「新社会人になったからおめでたい」と、ポンと親側さんの間でもクルマを買ってあげる余裕がなくなってきているケースも目立っている。
過去には「ボーナスフェア」と銘打っていたが、「ボーナスをもらえない人もいる」との意見もあり、いまは使われなくなっている。「フレッシャーズフェア」もまったくなくなったわけではないが、目立って販売促進ツールとして積極展開することもなかなかできなくなってきているのがいまの日本の現状だ。
消極的ともいえる日本社会の変化が、新車の販売促進活動にも大きな変化をもたらせているのである。