軽自動車は海外市場とじつは相性が悪い?
この理由を開発者に尋ねると以下のように返答された。
「軽自動車は、いわば箱庭のようなクルマで、小さなボディに多彩な機能を凝縮させている。このよさは、海外のお客様にも理解できるだろう。ただし北米で使うには、ボディが明らかに小さく、欧州でも走行性能に不満が生じる。新興国には適するが、日本の軽自動車は品質が高いこともあり、価格が折り合わない面もある」。
つまり軽自動車は、コストも相応に費やして日本向けに造り込んだから、市場によっては品質が過剰になるという。
そのために軽自動車は、一部の車種を除くと海外では販売されないが、近年はかつての新興国も所得が高まって衝突安全基準も上昇した。これを受けてダイハツでは、日本の軽自動車やコンパクトカーと共通のDNGAに基づいたプラットフォームを使って、新興国向けの車両を開発している。
そうなると、今後の展開としては、海外でも軽自動車を販売するかも知れない。とくに二酸化炭素の排出抑制が主目的になる電気自動車は、日産サクラのように、軽自動車の規格で開発すると高い水準で目的を達成できる。いまの電気自動車を見ると、長距離を移動するために、大きなボディに大容量のリチウムイオン電池と強力なモーターを搭載する車種も多い。これでは車両重量も増加して、肝心の二酸化炭素の排出抑制には、優れた効果を生み出せない。価格も高まる。
その点で軽自動車サイズの電気自動車は、短距離の移動に限れば、二酸化炭素の排出抑制効果も大きい。この価値は日本国内に限らないだろう。近い将来、日本の軽自動車が世界で賞賛される時が来るかも知れない。