日本車なのに北米や中国で先にデビューするのもやむなし
日本のユーザーがとくに不満を感じるのは、日本メーカーの国内仕様が、海外仕様に比べてフルモデルチェンジを大幅に遅らせる場合だろう。たとえば先代アコードは、北米では2017年7月に発表されながら、タイ製となる日本仕様の登場は2020年2月であった。
つまり、北米市場の登場と日本国内の発売には、約2年半の時間差が生じた。その間、北米では新型、日本では旧型を売っていた時期もある。新旧モデルを比べると、とくに安全面で差が生じた。日本のメーカーが作る商品なのに、日本仕様よりも海外仕様のほうが安全という状況が生じていた。
新型アコードも北米仕様は2022年11月に発表されたが、日本仕様の発売は、販売店では「2024年3月7日になる見込みで、価格は544万9400円」と案内していた。先代型ほどではないが、約1年半の時間差が生じたわけだ。
現行レガシィアウトバックも同様だ。北米では2019年7月に生産を開始したが、日本仕様は、同年9月にフルモデルチェンジではなく一部改良が実施された。そしてフルモデルチェンジは2021年10月であった。ここでも約2年間の時間差が生じている。
フルモデルチェンジの周期が5〜6年になることを考えると、販売台数の多い海外仕様を先行発売するとしても、1年以内に日本仕様を投入すべきだ。いまは安全性に関連した技術進歩が著しいから、2年の差が生じると、日本のメーカーが日本のユーザーに安全性の劣った商品を売ることになってしまう。