今後を担う若手レーサーにも注目
さてHRCの4輪活動は、スーパーフォーミュラやSUPER GTといった国内トップカテゴリーに加え、昨年からはスーパー耐久シリーズに4輪初のフルワークス体制で参戦を開始。活動の幅を広げている。この活動に関して、佐藤琢磨さんはどのように考えているのだろうか。
「僕自身、スーパー耐久の具体的な関わり方はまだ何も決まっていません。ですがスーパー耐久は、参加型モータースポーツの原点になるカテゴリーといいますか……クルマ好きの方たちの熱い想いを、存分に発揮できる舞台だと思っています。ここ数年、スーパー耐久に注目が集まっているのはとても嬉しいことです。この取り組みを無駄にしないで、より楽しいコンテンツを作っていけるようにしたいと思っています」
また、昨年HRS-K(ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿・カートクラス)に参加していた13歳の中学生女性ドライバー松井紗羅さんが、1月末にF1の名門チーム「ウィリアムズ・レーシング」のドライバーアカデミーへ加入を果たした。松井さんは、昨年末に開催されたHRS-Kの特別講習会で、現役F1ドライバーの角田裕毅さんと熱戦を披露。角田さんからのプレッシャーにも動じす、見事に勝利を飾った。
今シーズンはFIAカート選手権のOKジュニアクラスに参戦するほか、チャンピオンズ・オブ・ザ・フューチャー・アカデミーへ出場する予定となっている。
プリンシパルとして彼女の活躍を見守ってきた佐藤琢磨さんは、彼女のウィリアムズアカデミー入りについて、「彼女は本当に研究熱心で、着実に力をつけてきたドライバーでしたから、世界のレーシングチームに認められる形になったのはとても嬉しいです。彼女自身も、しばらくはヨーロッパで活動することを目標にしていますが、仮に日本へ帰ってくることになってもサポートはしていきたいです。彼女はまだ13歳ですし、ゆくゆくはフォーミュラカーに乗れる機会を作っていきたいと思います」
レーシングドライバーを目指して以降、ホンダと二人三脚で挑戦を続けてきた佐藤琢磨さん。エグゼクティブ・アドバイザーとして、HRCのモータースポーツ活動にどのような効果を生み出すのか。新たな挑戦が始まった。