BEVはパソコンのようなものと語る販売現場も! 日本でBEVが普及しないのは「現金でクルマを買う習慣」が残ることも理由のひとつだった (2/2ページ)

新車販売方法の根本的な傾向の変化が求められている

「販売現場で聞くのは、『パソコンの購入をイメージしてください』とよく説明するそうです。BEVの技術進歩のスピードは、現状パソコンのそれを超えているようにも見え、また状況も似ているともいえます。中古パソコンの様子を見れば、再販価値を期待することはできないでしょう。可能な限り短期間で車両の入れ換えを続けるには、残価設定ローンやリースによって手に入れることを勧めているようです」とは事情通。

 支払総額では見ずに、月々でいくらの支払いで乗ることができるか、まさに「サブスクリプション」的な感覚で買い得感を検討する流れが普及しないと、BEVの普及にはなかなか弾みがつかないだろう(日本ではそもそもそこまでしてBEVは必要なのかという論議もあるが……)。

 日系メーカーがBEVに乗り遅れているといったことが話題となるが、日本国内でのBEVの普及に限っていえば、「新車保有のありかた」から見直す必要もあるように思える。

 BEVだけではなく、ICE(内燃機関)車でも、軽自動車でさえ支払総額で250万円を超えることも珍しくなくなった。現金一括払いで乗り継ぐには、購入予算をためながら長い間乗り続ければよいともいえるのだが、現状の日本経済を見ると、長い年月をかけても300万円ほどの新車購入のための資金を貯めるのは、一般庶民の間では至難の業のようにも見える。

 BEVだからというわけでもなく、日本という国の置かれる状況が変化するなか、新車販売の根本的な「傾向の変化」が求められているのかもしれない。残価設定ローンの利用が目立っている現状は、まさに変化しつつある状況を表しているともいえよう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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