シチュエーションにぴったりの音楽がドライブを盛り上げる
まずは恵比寿のスバル本社から「SUBAROAD」の出発地点、道の駅伊豆ゲートウェイ函南を目指す。
2023年10月にマイナーチェンジを施したソルテラ。楕円形のステアリングが先進的な印象だ。見た目にはインパクトがあるが操作性は円形ステアリングと大差なく、ほかのクルマから乗りかえても問題ないだろう。改良前のソルテラに乗った際、メーターがステアリングとかぶっていて見にくいと感じたのだが、その問題も解消されていた。
予想以上に混んでいた東名で活躍したのがAdvanced Drive。高速道路での渋滞時にクルマが車線維持、加減速、停車、発進操作をアシストしてくれる。40km/h以下ではステアリングから手を離すことができ、この機能のおかげで渋滞に疲弊することなく駅伊豆ゲートウェイ函南に到着。
道の駅伊豆ゲートウェイ函南の駐車場には急速充電器が設置されていて、昼食をとっている間にソルテラを充電することができた。
いよいよ旅路の始まり。「SUBAROAD」のスタートボタンを押すと「ようこそSUBAROADへ」と音声ガイドが喋り出す。
「このコースでは旧富士見パークウェイから伊豆スカイラインに向かい、走りの楽しさと素晴らしい景色を堪能していただきます。その後、森の中を抜ける細い峠道を走り、天城へ。天城を越え海岸線で南へと向かい、伊豆半島の最南端、石廊崎のさらに先、奥石廊崎にあるあいあい岬を目指します」と説明。
「まずは最初の目的地、伊豆スカイラインの多賀駐車場を目指しましょう。さあ、いよいよ旅の始まりです!」というコメントの後、KUWATA BANDのスキップ・ビート(SKIPPED BEAT)が流れる。
なるほど、「旅の始まりに聴きたい曲は?」という質問で選んだ曲がかかったのだ。シチュエーションにぴったり、かつ自分の好みの音楽に気分が上がる。
伊豆スカイラインの韮崎峠料金所にさしかかると、音声ガイドが「冷川料金所で降りるとお伝えください。料金は590円です」と教えてくれた。まごつきがちな料金において、このような配慮はありがたい。
EVでありながらパドルシフトがついていて、回生ブレーキのきき具合を調整できるソルテラ。ワインディングの走りを楽しみながら最初の経由地、多賀駐車場にたどり着いた。相模灘の眺望に負けず劣らず見応えがあったのがソルテラの外観。先進的でありながら逞しいルックスが峠に似合っていた。
多賀駐車場を出ると1kmにも及ぶ下り坂が出現。「総延長40.6kmの伊豆スカイラインの中でもこれほど長い直線はここだけ。まっすぐ伸びる気持ちの良い道をお楽しみください」という音声ガイドに続いて流れたのはヨルシカのただ君に晴れ。物語の主人公になったような気分だ。
巣雲山駐車場にも立ち寄り、伊豆スカイラインを出て筏場のわさび田へ。
静岡県のわさび栽培は栽培面積、生産量ともに日本一で伊豆市はとくに盛んなのだという。
一面に広がるわさびの葉が美しく、静謐な空間はまさに秘境といった印象。「SUBAROAD」がなければ見られなかった景色だろう。
筏場のわさび田を後にし、冒険気分で国士峠の林道を走る。勾配はさほど急ではないが、音声ガイドいわく「雨や風の後は路面状況が悪いのがデフォルト」とのことで、このような道ではやはりスバルのAWDが心強い。
続いて浄蓮の滝に到着。力強く流れ落ちる様は圧巻だ。コバルトブルーの滝つぼも神秘的でしばらく見入ってしまった。
自然の力で心も体もリフレッシュしたところで天城を越える。
かつて天城山は豊かな水をもたらす一方で、伊豆の南部と北部を隔てる交通の難所だったそうだ。1095年に天城山隧道が開通するまでの伊豆の人々の苦労について説明がされた後、車内に響く石川さゆりの天城越えは一層心に染みた。
河津七滝ループ橋では「ぐるぐると言えば?」という不思議な質問で回答したBUMP OF CHICKENの車輪の唄が流れてまだまだ走っていたい気持ちになったが、ここで日が暮れてしまったため残りは翌日に持ち越すことに。