政治家のいう「環境に優しいクルマ」ってナニ?
日本では車両重量税というものがある。
道路整備に活用する目的で導入されたもので、道路により負担をかけるということで車両重量の重いクルマほど課税額が高くなる仕組みだ。しかし、エコカーで免税対象車だと重量税も非課税となる。重量税については、地球環境への負荷などは関係のない税金だと筆者は認識しており、この認識が正しければ、同クラスICE車より全般的に車両重量が重くなるBEVが非課税となることにはしっくりこないものを感じる。
道路への負担を考えれば車重の重たいBEVが増えれば負担は大きくなり、再舗装などの整備費用の負担を課税対象となるICE車ユーザーが負担することになる。パリの事例に比べるといささか不公平感を抱くものとなっている。
筆者の私見では、欧州でさえSUVの人気が高くなっているのだが、それ自体に抵抗を示す人も多いように感じる。今日の欧州メーカーにおける、前のめりにも見えるBEV普及に対する動きは、日本メーカーの優れたハイブリッドシステムに、同じハイブリッド技術で対抗することが困難であるいわれて久しい。
SUVでもプレミアムブランドではそれほど目立っていないが、欧州の量販ブランド、とくにフレンチブランドでは、好みもあるだろうがクロスオーバーSUVのラインアップは苦手のようにも見える。
また、BEVに関しても存在感がやや希薄なようにも見える。今回のパリ市の措置に政治的なものが大きく作用したかは定かではないが、「オシャレなパリにSUVは似合わない」といった保守派の意見などもあったのかもしれないが、筆者はさまざまな政治的臭いを感じている。
パリ市の今回の措置を見れば、軽量でコンパクトなBEVが理想的にも見えるが、そこのジャンルは中国メーカーが得意としており、パリ市では新たな規制を設ける必要が出てくるかもしれない。
欧州における「環境に優しいクルマ論争」はいよいよ出口の見えない迷路に迷い込んでいるように、今回のパリの動きを見ても強く感じる。