この記事をまとめると
■かつて輸入車は耐久性に難があるといわれていた
■日本の環境が欧州などと違いすぎることで、機械に負担をかけていたのが原因だ
■昔のイタフラ車は壊れやすく、愛好家が故障自慢したことで壊れやすいクルマとして広まった
昔から輸入車が壊れやすいといわれている理由とは
「輸入車は壊れやすい」という噂を耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。さすがに2020年代に輸入車を日本で乗るのはリスク大……というほど故障率が高いという話は聞かないが、たしかにかつては国産車と輸入車の間には故障率や耐久性において明確な差があったことを実体験しているベテランユーザーは少なくないはずだ。
とくに欧州車の故障としては、内装の樹脂部品が溶けてくるだとか、天井の内張りが垂れてくるといったトラブルは定番といえる。
また、エアコンなどの空調系についても輸入車は耐久性・性能面ともに国産車には劣るという時代はたしかにあった。その理由として、日本と欧州の気候の違いが指摘されることが多い。具体的にいえば湿気が多いことで、天井の垂れ下がりやエアコンの不調が起きてしまうというのだ。
空調についていえば、日本のユーザーの使い方に対して欧州メーカーの理解が足りないという面もあった。いまではずいぶん変わってきたが20世紀の欧州的な感覚では、冷房というのは本当に暑い時期だけに使うものだった。
しかし、日本では湿度の高さから「蒸し暑い」と感じる時期が長く、欧州メーカーが想定する以上にエアコンを稼働させていたのだという。当然ながら、送風機や熱交換器など、エアコンの主要ユニットの容量や耐久性に難ありと感じるユーザーが増えることになる。
余談だが、日本のメーカーが作る東南アジア向けモデルの空調パネルを見ると、暖房の領域がなく、1年中エアコン(冷房)を使う設計になっていることもある。本来であれば、こうしたローカライズをすべきなのだが、かつての欧州車はそこまで日本市場向けの最適化をしてはいなかったのだろう。
しかし、そうしたケースばかりではない。筆者の記憶では日本仕様に専用のトランスミッションを与えたこともあった。BMWの3シリーズ(E46型)が、日本車が採用しているのと同系列の5速ATを積んでいたことがある。
その理由についてBMWのエンジニアに質問したところ、「日本の高速は速度域が低く、また渋滞も多いのでトランスミッションに求められる特性が欧州仕様とはまったく異なっているため」ということだった。
最近でも、8速や9速ATを積んでいる欧州車で高速道路を走っていると、ほとんどトップに入らないという経験をしたことがある。
いずれにしても、かの有名な速度無制限道路「アウトバーン」を意識した変速比のまま、せいぜい120km/hが制限速度の上限である日本に持ってきても宝の持ち腐れであり、またマッチングが悪いことでトラブルの種になってしまうといえる。渋滞も同様だ。発進・停止が繰り返されるシチュエーションというのはトランスミッションへの負担が大きくなりがちであるし、エンジンについてもラジエターに十分な走行風を当てられないためオーバーヒートしやすくなる。