日本特有の気候や信号の多さは輸入車にとって鬼門
最近、日経平均株価が1989年12月のバブル期最高値を更新したというニュースもあったが、そのバブル期には輸入車への注目度も高く、海外メーカーも日本市場へ期待していたこともあって、東京で欧州メーカーのテスト車両を見かける機会も多かった。
とくに東京の大渋滞でエンジンやトランスミッションにトラブルが起きず、エアコンも十分に効くことを確認するためのテストを繰り返していたという伝説もある。そうした日常での負荷に余裕で耐えることができていたならば、冒頭で記したような輸入車のネガティブなイメージは生まれなかったであろう。
事実としてメーカーが開発車両を日本に持ち込んでいたということは、風土やユーザーマインドなど日本市場の特徴を把握しきれていなかった証左といえるかもしれない。
まとめると、以下4つのポイントにより「輸入車は壊れやすい」という評判が生まれてしまったといえる。
①日本と欧州の気候の違い。日本は湿度が高い
②エアコンの稼働期間が伸びがちで負担が大きい
③渋滞が多いためエンジンなどの冷却が追いつかない
④制限速度の上限が低いため変速比がアンマッチ気味
さらにもうひとつ大きな理由があるように思える。
かつて、欧州車、とくにイタフラ系と呼ばれるブランドの愛好者のなかには、なぜか「また修理に出しているんだよ」と自虐的に故障自慢をする人が多かった。
「走っていたら窓が落ちた」だとか「新品のバッテリーに変えたばかりですぐにあがってしまった」だとか、理不尽なイメージのある故障をおもしろおかしくいう人が少なくなかった。その裏には「こんなに手のかかるクルマを維持するには、それなりの知識や経験が必要だぞ」というマウント的な心理もあったのかもしれないが。
「欧州車は壊れやすいというイメージ」は、こうした愛好者の自虐的アピールによっても定着した、といえるかもしれない。