「仁丹ってナニ?」3度の飯よりラムネが好きな平成生まれの編集部員が突撃! 乗れたら超ラッキーな世界に1台の「#タイムスリップ仁丹タクシー」に迫った (2/2ページ)

「エモさ」を武器に若者にも仁丹を普及させたい!

 さて、「ラムネに似てるから行って来い」と無茶をいわれたこの「仁丹」と「タクシー」がコラボした謎の企画。取材先を訪れると正面に置いてあったのが、いまでは数を減らしつつあるトヨタ・クラウンコンフォートをベースとした仁丹タクシーだ。担当者曰く「レトロといえばこっちの形かなと思い、車種はこれにしました。いまはJPNタクシーが主流なので探すのに意外と苦労たんですよ」とのこと。たしかに、クラウンコンフォートのタクシーは減りつつある感じはする。妙に納得してしまった。

 この企画で走るタクシーの名は「#タイムスリップ仁丹タクシー」という名で、コンセプトは、「仁丹がもっとも売れた昭和50年代の光景を社内に再現し、乗った人が昭和にタイムスリップしたような感覚を目指した」という。なお、この車両は左右で色が違っており、左側面の緑色は仁丹のイメージカラーからきているそう。

 気になる車内に乗り込むと納得した。それはもう昭和そのものだからだ!(ちなみに筆者は平成生まれである)。至るところにレトロな雰囲気一色な装飾が散りばめられており、見ていてとても楽しい。それはもう、どこを見ればいいのかわからないほど。窓にはレトロ調なステッカー、天井には昭和に薬局などで貼られていたであろう仁丹のチラシの数々。ちなみにこれらすべて”当時モノ”とのことで、触ってみるとザラついた紙質であった。「なんか勿体ない気がする!?」と思ったのは、骨董物が好きな筆者だけだろうか?

 車内にはオモチャのラジカセがぶら下がっており、押すと当時のCMの音声が流れるユニークな仕かけも。また、当時のカタログや雑誌、オモチャがバックポケットに備わっているのもポイントだ。クラウンコンフォートはFR駆動なので、後席にはフロアトンネルが通っているのだが、その上にあるフロアマットもどこか昭和な感じがする点も見逃せない(繰り返すが筆者は平成生まれだ)。

 そしてこのタクシー、車内はお約束の如く仁丹の瓶一色なところも面白い。ダッシュボードには仁丹、リヤのトノボードにも仁丹。ご丁寧にフロントアームレストの上(支払いなどのやりとりをする場所)にも仁丹があり「触ってみよう!」と、即席ふれあいコーナーまであるほど。

 とにかく仁丹の圧が凄すぎて口が裂けても「もういいです……」とは言えない演出に脱帽だ。ちなみに、乗客には「仁丹、食べたくなったでしょ?」と言わんばかりに「仁丹(お試しサイズ)」を配るサービスも実施。マニアには嬉しい「乗車記念証」もセットでくれる。ここまでくると、「何がなんでも仁丹を広めるぞ」という執念を感じる。

 このユニークな企画を実施した経緯に対して、森下仁丹で広報を務める永田さんは「仁丹をいま購入している層は70代が圧倒的で、若者と言われる20〜30代にはほとんど認知されていません。入社2年目の私も正直就職活動をするまでよくわかってませんでした。なので、そういった若者に普及させたいという目的で、『エモい』と『仁丹』をコラボさせるような形で今回の企画がスタートしています。ドアに書かれている『ジンタン、ありやん?』のフレーズも、いまどきの若者っぽいいいまわしにして、ユーザーフレンドリーな雰囲気となるようにしています。関西弁なのは弊社が大阪に本社があるので……(笑)」と語ってくれた。

 気になるこの仁丹タクシー、運用は2024年3月11〜24日までの期間限定での運行となり、運行場所は東京23区内と武蔵野市、三鷹地区となる。仁丹のサイネージ広告を貼った車両は100台運行するが、この取材会で置かれていたフルラッピング車はなんとこの1台のみ。都内を走るタクシーは個人タクシーも入れると約4万2000台ほどいるので、超激レアな車両ということになる! 乗ってしまったら最後、今年の運を使い切ってしまう心配さえあるほどだ。ちなみにS.RIDEという配車アプリで仁丹タクシーのみに絞って呼ぶこともできるそう。ただし、広告のみ装備した100台もこのなかに含まれるので、どれが来るかはお楽しみとのこと。

 最後に、失礼ながら広報の永田さんに「俺、仁丹がラムネに似てるから行けって言われて来たんですけど、失礼ながら食べたことなくて……。そもそもこれ、どう食べるんですか?」と、しょうもない質問をすると、すかさず「あ、いま食べます?」とスマートにその場でMy仁丹を格好いいシルバーの専用ケースから取り出して、その場でお裾分けしてくれた。さすが広報担当!

 気になる食べ方は、「数粒を口に入れて、噛んでも舐めても丸呑みでも大丈夫です」とのこと。まさにラムネ菓子じゃないか。ちなみに食べた後に水を飲むと、水がめっちゃ甘くなるというトリビアも教えてくれた(ファンの間では有名だそう)。

 なお、仁丹は先述したように生薬をまとめたモノ。なお、筆者は漢方などの健康にいいとされる薬はかなり苦手。そもそもかなりの偏食でもある。

 で、気になる味は……うーん! これが仁丹か、なるほど!

「#タイムスリップ仁丹タクシー」、見つけたらぜひ乗ってみて欲しい。現場からは以上だ。


WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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