この記事をまとめると
■間口の広いコンパクトカーを目指した進化により新型スイフトはスポーティさが薄まった
■新型スイフトは操作系がソフトで万人向けの味付けになったがその走りは日和ったものではない
■ソフトタッチの向こうにある世界を感じてから新型スイフトを評価してほしい
モデルチェンジで万人向けになった新型スイフト
スズキのコンパクトカー「スイフト」がフルモデルチェンジにより、グローバルモデルとしては4代目(日本での車名で数えると5代目)に進化した。新型の狙いをひと言で表現すれば「FUNを創り出すクルマへ」というもの、より具体的な開発コンセプトとしては「日常の移動を遊びに変える」と定義されている。
とはいえ、熱心なスイフトファンが新型モデルを試乗すると「すいぶん変わってしまったな」という印象を受けるかもしれない。スイフトといえば、コンパクトカーのなかでも骨太でスポーティ、マニアも納得の走り味を持っているというイメージからすると、新型はずいぶんと間口の広い、マイルドな走り味になったと評価されそうだ。
その理由は、アクセルやブレーキ、そしてステアリングといった操作系が従来よりも軽くなっているから。非力なドライバーでも気持ちよく運転できるようになっているのはコンパクトカーとしては正しい進化といえるが、逆に従来のマッチョでスポーティなテイストを期待しているファンからすると、肩透かしをくったような手応えと感じるかもしれない。
あらためて、新型スイフトの成り立ちを整理すると、プラットフォームの基本は従来モデルからのキャリーオーバーながら、パワートレインは完全新設計の1.2リッター3気筒エンジン「Z12E」型と、これまた新規採用のCVTを組み合わせたもので、振り子式テンショナーを介してISGをつなぐマイルドハイブリッドが基本となる(非ハイブリッド仕様も用意)。
また、スズキの国内向けモデルとしては初めてマイルドハイブリッド+5速MTのコンビネーションを用意したのも進化トピックスのひとつだ。さらに、電動ウォーターポンプにより冷却の最適化を実現しているのも、令和に登場した最新エンジンらしいところ。