軽自動車並のボディに1000馬力のモーター! F1マシンよりも速く走った衝撃のBEVが市販される (2/2ページ)

大型ファンによりボディを地面に吸い付ける

 スピアリング・ピュア・トラックカーは、外観の写真を見ても一目瞭然であるように、非常にコンパクトなボディを持つモデルだ。ボディサイズは全長×全幅×全高で3450×1580×1002mmという数字なので、日本の軽自動車の規格をわずかに超えた大きさと考えてもらえればよいだろう。

 そのデザインはまさに刺激的なことこのうえない。大きな抑揚を持つ前後フェンダーや、リヤウイング、そして逆にコンパクトにデザインされたモノポストのキャビンなど、その独創性もまた大きな魅力といえる。

 そして、このスピアリング・ピュア・トラックカーの速さの秘密として触れなければならないのが、最初にファンカーと紹介したように、ダウンフォース・オン・デマンド・システムを搭載していること。車体後端に設置された大型ファンがボディ下面を流れてきたエアを強制的に排出することで、強力なダウンフォースを得るこのシステムが発するサウンドはかなりのボリュームになるというが、それもまたドライバーには大きな刺激となるのだろう。

 ちなみにこのダウンフォース・オン・デマンド・システムも、従来のものよりファンの効率は15%向上、重量も14%削減、配線ループの重量も35%低減することを実現したという。

 モリセルとの共同開発による60kWh分のリチウムイオンバッテリーシステムは、シングルシーターのドライバーを中心にU字型に配置。エレクトリックモーターはツインで搭載され、最高出力は1000馬力。もちろん後輪を駆動する。前後のタイヤは、以前使用していた19インチ径から18インチ径にサイズを変更。トレッド幅はフロントで270mm、リヤで300mmに拡大された。

 マクマトリーによれば、スピアリング・ピュア・トラックカーは、シルバーストーンサーキットを、ラップタイムレコードのペースで10周し、その後わずか20分の急速充電で再び走行に戻ることができるという。これは、バッテリーと冷却システムの両方にも改良が加えられた結果にほかならない。

 2022年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードからさらなる正常進化のための作業を続け、まもなく正式なデビューを飾るスピアリング・ピュア・トラックカー。ぜひともその走りを体験してみたい一台である。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
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