斬新デザインをバランスよくまとめるCALTY
クルマをディスプレイにした「動く端末」
3台目は、2011年の東京モーターショーで披露された「FUN-Vii」です。「20XX年の未来を具現化したコンセプトカー」のテーマらしく、あたかもスマートフォンに4つのタイヤを付けたかのような発想がユニークです。
流麗なワンモーションフォルムのボディは、全体がタッチパネルディスプレイであり、なるほどそれ自体が端末に思える所以。そこは全長を4020mmに抑えたコンパクトさも効いているようです。普通に見ればいわゆる空力ボディですが、このクルマの場合はちょっと意図が違うかも?
ブラックのボディにはシルバーのアクセントが効果的に配されていますが、とくにΩ型のリヤパネルは近未来感に溢れており、同時に全体のスタイリングを巧く引き締めているのが出色です。
クルマは人とともに成長するパートナー
次は、2017年のCESに続き東京モーターショーでも公開された「Concept-愛i」。コンセプトは「more than a machine, a partner」で、人工知能で人を理解するクルマを、ともに成長するパートナーと捉えた提案です。
キャビンフォワードのワンモーションフォルムはもはやお馴染みですが、ルーフやサイド面の広大なガラスエリアと、リヤタイヤを覆った巨大なフェンダー部とのバランスが絶妙です。さりげなくアンダープライオリティを取り入れたフロントも見所でしょう。
また、リヤではホイールやガラス面などに施された独自の文様表現が近未来感を後押し、ボディ前後での表情の変化がユニークです。
これってミニ・ランドクルーザーの提案?
最後は、2017年のニューヨーク国際オートショーに出品された「FT-4X」。手軽でカジュアル、思い立ったらすぐにアウトドアへ出かける若者を想定した小型SUVの提案です。
「Rugged Charm(丈夫で魅力的)」をテーマとしたスタイリングは、ルーフをリヤ後端まで伸ばしたスクエアな基本フォルムがユニーク。シャープで多面体を用いたボディサイドは一見スリムに見えますが、太いリヤピラーにより頑丈なイメージを確保しています。
フロントはモチーフとした「X」を巧みに表現。ホワイトのグリルがFJクルーザーとの関連も感じさせる一方、直線的なボディは同スタジオによるランドクルーザー250も想起させます。
さて、今回はCALTYによるコンセプトカー5台を見てきましたが、いずれも独自の発想力と先進性に加え、それらをバランスよくまとめる高い造形力に驚きます。また、トヨタの欧州スタジオであるEDスクエアとも違った感覚が面白いと言えますね。