この記事をまとめると
■2月中旬に大阪オートメッセ2024が開催された
■トヨタ神戸自動車大学校がブース出展
■展示車両のA70型スープラにスポットを当てた
ベース車はほぼ原型を留めていなかった
インテックス大阪で2月10日(土)から12日(月・振休)までの3日間開催された、関西最大級のカスタムカーショー「第27回大阪オートメッセ2024」。
地元・関西のトヨタ神戸自動車大学校は例年オートメッセに出展し、往年のトヨタ車を学生たちが数カ月かけてレストアした車両を披露している。そんなトヨタ神戸自動車大学校が今回、インテックス大阪の5号館に持ち込んだのは、学生たちの親世代からも人気が高いであろう、3代目A70型トヨタ・スープラだった!
A70スープラといえばこの色を思い浮かべる人も多いであろう、レッドマイカ(カラーコード3H4)のボディカラーは艶やかな輝きを放ち、同じくワインレッドのインテリアも80年代のクルマらしい、いい意味でバタ臭さのある往時の雰囲気そのままだ。
しかしながら、レストアを通じてクルマの修理・整備作業を学ぶ授業の教材として学生たちに託された車両が、マトモなコンディションのはずがない(失礼!)。
本来のボディカラーはスーパーホワイト(カラーコード034)だった1989年式のGA70型スープラGTツインターボは、聞けばボディはサビだらけ、ルーフは凹み、バンパーなどの樹脂外板は飛び石跡だらけのうえ黄色く退色し、エンジンは当然の如く始動しない。極めつけは室内のインパネ天面が、経年変化で見るも無惨にヒビ割れており、ほぼ原型を留めていないほどだったという。
そんな廃車寸前だったA70スープラの内外装を徹底的に分解し、1G-GTEU型2.0リッターツインターボエンジンもおろしてからボディを洗い、古い塗膜を剥がしてからサビを補修。そしてボディをレッドマイカに塗り替えたのだが、その際の塗料は関西ペイントから水性のベースコート「レタンWBエコEV」の提供を受けて使用している。
なお関西ペイントではプラサフ(プライマーサフェーサー。下地塗料)やクリヤーも水性のものをすでにラインアップしているが、同校教員によれば「ディーラーの鈑金塗装工場では水性塗料の導入がベースコートのみに留まっている所のほうがまだ多いため、プラサフとクリヤーはあえて従来の溶剤系塗料を使用している」とのこと。学生を卒業後に即戦力とすべく、その実態に合わせて材料を選んでいるようだ。
また防錆塗料と耐チップ塗料に関しては、スウェーデン・オーソン社「ノックスドール」シリーズの提供を受けている。
エクステリア以上に難易度の高いインテリアのレストアに関しては、ファブリック生地を染料で染め直したほか、もっとも損傷が激しかったインパネ天面はアメリカ・イリノイツールワークス社のパテ「エバーコート」シリーズの提供を受けて使用。部分的に修復するとかえってその部分からのちのち変形しやすくなるため、新車当時の形状を再現するのは困難を極めるものの、全面修正を敢行したのだとか。
そしてエンジンほかパワートレインや、配線を含めた電装系も慎重に組み付け直し、自走可能な状態までレストア完了。なお、A70スープラに関しては、トヨタ自動車が復刻部品「GRヘリテージパーツ」を展開しているが、今回のレストアではほとんどの部品をベース車から再利用したそうだ。
こうして新車同様のコンディションを取り戻したA70スープラが、元気に公道を走り続けてくれることを願ってやまない。