この記事をまとめると
■最新型11代目ホンダ・アコードに中谷明彦さんが試乗
■新型アコードはステアリング操舵フィールが軽くて応答性にも優れた味付けとなっている
■アクセル踏み込みに対するエンジン回転の高まりがリニアになった
日本仕様の新型アコードはタイから輸入される
生産地から「川越ベンツ」と形容された初代アコードセダン。FFミドルサイズセダンとして瞬く間に世界中で人気を博し、ホンダを代表する車種となった。
その最新型が11代目となって登場した。この新型は北米や中国、タイで生産されるもので、国内にはタイから輸入されるので「輸入車」扱いとなる。とはいえ右ハンドル仕様で装備類も国内仕様となっていて、いわれなければ国内工場で生産されたと思い込んでしまいそうだ。
先代モデルも同様にタイ生産車であり、その品質や質感、信頼性において何もネガティブな要素がないことは実証済みだ。
今回、新旧アコードをクローズドコースの「伊豆サイクルスポーツセンター」で比較試乗することができた。
まずは旧型から試す。アコードを走らせるのは久しぶりだ。エクステリアデザインはシビックとも似通っていて、近年のホンダデザインの潮流に則っている。とくに北米や中国などでは大人気のヒット車として知られている。
運転席に乗り込むと、とくに派手な演出はなく、ダッシュボード中央の液晶モニターも小型で時代を感じさせるが、実用的な機能性で過不足なく仕上げられている。e-HEVシステムを採用していて、走り出すと静かで質感の高い乗り味が印象的だ。
「アコードって、こんなにいいクルマだったんだ」と改めて認識させられたのだった。
次に新型を試す。外観の意匠はホンダデザインの流れを引き継いでいるものの、フロントまわりは大幅に変更され、新しい顔が与えられている。SUVが市場を席巻する現代において、クルマ好きなら誰でも好感をもつような優雅で先進的なデザインとなっており、セダンの存在感を高めている。
インテリアデザインも大幅に変更された。水平基調のダッシュボードデザインは現行ヴェゼルやシビックを彷彿とさせるが、質感の高い素材が採用され見栄えがよく高級感にも溢れている。
システムを起動し、センターコンソールのDボタンをプッシュすれば走り出せる。先代からプッシュボタン式のシフトセレクターが採用されており、新型にも継承されている。
走り始めてすぐに感じられたのは、ステアリング操舵フィールが軽く、応答性にも優れた味付けとなっていることだ。近年、急速にトレンドとなって採用例が増えているデュアルピニオン式パワーステアリング。アコードは先代から採用しているが、新型はより操舵フィールにこだわったセッティングが施されている。ステアリング操舵初期の応答性が高まり、シーンによってはゲインが強すぎると感じることもあったが、とくに北米で好まれる味付けとなっているようだ。