ホンダの理念であるMM思想をEVの0シリーズで模索
スペースハブは、スペースワゴン的な存在で、人々の暮らしを拡張することを目指している。
車名のハブは、まさにそうした空間の中継所(ハブ)となることを意味している。移動した先で基点となる価値を提供し、車室内の空間だけでなく、EVならではの電源を使った作業や余暇などでの活用を視野に、駐車していても役立つクルマの価値を提供する。
すでに市販EVでも、外部電源による利便性の提供は行われているが、スペース・ハブでは追加装備としてではなく、クルマそのものが外部電源を含めた基地となることを目指している。
向かい合った後席に座ってみると、まさに車内というより居間の雰囲気が強く、住まいの延長のような快さがあった。短時間の休息ではなく、長く居続けたいと思わせる雰囲気がある。
ホンダは、1980年代に3代目シビック(通称ワンダーシビック)やアコードエアロデッキというエンジン車を市販し、その長い屋根が、ホンダのクルマ作りの原点といえるMM(マンマキシマム・メカニズムミニマム)思想を形にしたひとつの案といえた。長い屋根によって、従来にない室内の広さや有効性をもたらしたのだ。
また、1990年代になって、ホンダはオデッセイを発売し、それまでのワンボックス車と違う多人数乗車を提供し、一世を風靡した。
2040年にすべての新車を電動車とする方針に向け、ホンダは、かつてのワンダーシビック、アコードエアロデッキ、オデッセイのように、新たなMM思想の姿をEVの0シリーズで模索しているといえるのではないか。ホンダ0シリーズは、デザインを含むコンセプトへの好感とともに、そんな未来への期待を抱かせた。