この記事をまとめると
■2024年2月15〜25日にインドネシア国際モーターショー2024が開催された
■インドネシアは日本車が圧倒的シェアを誇るがBEVでは中国メーカーに押され気味
■横ばいが続くインドネシアの新車販売台数を増やすためには二輪車ユーザーをいかに四輪に誘導するかが鍵だ
新車販売が伸び悩むインドネシアでシェアを拡大するBEV
2024年2月15日から25日の日程で、インドネシアの首都ジャカルタ市にある、ジャカルタ・インターナショナルEXPO(JI EXPO)において、「インドネシア国際モーターショー2024(IIMS2024)」が開催された。インドネシアでは、ほかにジャカルタ近郊において「ガイキンド(インドネシア自動車工業会)国際オートショー(GIIAS)」が開催されている。
GIIASがオーソドックススタイルの最新コンベンションセンターで開催される一方で、IIMSは、南の島の国インドネシアらしい造りを強く受けるJI EXPOで開催されるところもあるのか、「庶民的」な雰囲気の強い自動車ショーという印象を強く受ける。
新型コロナウイルスが感染拡大した2020年にインドネシア国内の新車販売台数は大きく落ち込んだものの、その後は回復傾向を見せ、2022年の年間新車販売台数は約105万台までに回復。コロナ禍前の数年から新車販売台数はほぼ横ばいで推移している。
インドネシアにおける日本車の販売シェアは、いまでも90%台を維持しその強さを見せている。しかし、ここインドネシアでもジャカルタ首都圏を中心にBEV(バッテリー電気自動車)の普及が目立ってきている。もちろんその主役は中国車。ショー会場でも中国メーカーの存在が目立っていた。なかでもインドネシア市場への参入を発表したばかりのBYD(比亜迪汽車)は、インドネシアの自動車ショー初出展ということで高い注目を浴びていた。
インドネシア政府も、東南アジア、いや世界の新興国同様に大気汚染の改善や原油輸入量の抑制という側面で、政府がBEVの普及促進を行っている。インドネシアはASEAN(東南アジア諸国連合)内では、タイと同じく自動車の重要生産拠点となっており、BEVなどのNEV(新エネルギー車)の重要生産拠点にしていきたいという狙いもあり、中国だけではなく韓国メーカーなどがすでにBEV生産工場を建設し生産を始めている。
市内を見渡せば、統計どおりに日本車が街に溢れている。トヨタやホンダ、スズキなど、販売シェアの高いメーカーではHEV(ハイブリッド車)を積極的にラインアップしており、それもあって販売面では日本メーカーの圧倒的強さは「不動」といっていい状況。しかし、ショー会場を見渡すと、来場者がBEVにも高い興味を持っているようで、中国のみならず、ベトナムのBEVブランド「ビンファスト」などのブースもにぎわっていた。
インドネシアのみならず、タイなど東南アジアにおいて強みを見せる日本車は、各メーカーともにラインアップも豊富なのだが、実際に売れているモデルはかなり偏っている。日本国内では長い間賃金がほぼ横ばいといった状況が続いているが、インドネシアでは国民所得が目に見えて増えてきており、生活が豊かになってきているというのは筆者ですら肌で感じることができる。そのなかで、消費者の多様化も進んでおり「珍しいもの」への興味も大都市居住者を中心に目立ってきており、そのような消費マインドに中国や韓国のBEVが「刺さっている」のかもしれない。
一方、街なかではまだまだ二輪車が幅を利かせている。この二輪車ユーザーをいかに四輪車ユーザーに代えていくのかが横ばい傾向に見えるインドネシアの新車販売を改善させるカギを握っているともいえる。
今後も日本車が強みを見せ続けるのには、消費者の多様な選択にどこまで応えることができるのかも重要となってきそうである。