この記事をまとめると
■フランス生まれのマイクロカー「シャンテクレール」を紹介
■3輪車でバイクの単気筒エンジンが搭載されていた
■200台ほどが生産されたが現存しているのはわずか10台ほどといわれている
こんなかわいい見た目で走ってれば交通環境も平和になる!
いっそのこと、世の中のクルマが全部マイクロカーになったらいいのに! だって、こんなウーパールーパーみたいなのがエッチラオッチラ走ってたら、煽り運転どころか「がんばれー」とか「キャワワ!」なんて声援を送りたくなるはず。
オーナーだって、このとぼけたフロントマスクを見たらほのぼの気分になって、万が一にもぶっ飛ばそうなんて気にはならないでしょう。一家に一台、マイクロカーを持つならポール・ヴァレが生み出したシャンテクレールを強くオススメしたい次第です。
このマイクロカー、シャンテクレール(フランス語で雄鶏)は、フランスのロワール渓谷に生まれた裕福な実業家、ポール・ヴァレがS.I.C.R.A.F.という機械工場を開業し、そこの主力商品となるはずだったもの。
最初、1949年にはスクーターとマイクロカーの中間のようなマシンを作り、オープンフレーム製作のノウハウをゲット。この当時、フランスではスクーターやマイクロカーが大きなビジネスになることを確信していたヴァレ氏は、次いで1955年にはシャンテクレールのプロトタイプをパリサロンに出品。すると、彼の思惑通り大反響を得て、市販車の生産が本格的にスタートしたのでした。
ちなみに、ポール・ヴァレはグランプリチームであるエキュリー・フランスを設立し、ルイ・シロンのような伝説的なドライバーが運転するタルボ・ラーゴT26レーシングカーをバックアップ。モータースポーツ史においても、その名を残している人物。ですが、これはあくまでマイクロカーやスクーターの宣伝が目的だったこと、当時から公言してのこと。なるほど、スピードマニアならマイクロカーでなく、スポーツカーを作っているはずです。
さて、シャンテクレールはグラスファイバーのボディを持ち、長閑なフェイスからリヤエンドにかけて絞り込んでいく前2輪、後1輪の3輪マシン。マイクロカーでこのレイアウトが多いのは、2名乗車が必須だったこと、3輪にすることで税制の安いクラスにしたかったことが理由でしょう。また、タイヤ1本分のコストが浮くことも庶民にとっては見逃せないポイントだったに違いありません。