もうクルマというよりペットだろ! ウーパールーパー顔のフランス産のマイクロカー「シャンテクレール」が可愛すぎてヤバイ (2/2ページ)

現像台数はたった10台!?

 搭載エンジンは古のバイクメーカー「イドラル(YDRAL)」製、単気筒2ストロークで125cc、あるいは175ccが選べました。最高出力は125ccモデルで6馬力程度とされています。車重は未公表ながら、最高速は同じく125ccで75km/hといいますから、現代の原付に追いつくかどうかってパフォーマンスでしょうか。

 また、マイクロカーではときおり見かけるウェスティングハウス・ジャイロスターターを装備しています。これはレバーを引くとフライホイールが巻き上げら、最高回転数まで上がったところでレバーを落とすと、モーターに結合されたクラッチが噛み合い、航空機のスターターのようにエンジンがまわり出すという代物。始動時にはジェット機もかくや、というほどモーターが唸るのだそうです(笑)。

 フランス製のマイクロカーは、ドイツ製と違ってミニマムなインテリアでなく、快適性を犠牲にしないところも特徴かと。車幅1320mmを有効に使ったフロントシートはソファのように快適で、大人ふたりが余裕をもって座れそう。これまた可愛らしいD型ハンドルも、乗降の妨げにならない形を追求したものだそう。

 そして、ウーパールーパー顔に釣り合うよう、フロントスクリーンも比較的大きめです。これは室内空間、とりわけ天井高を稼ぎたかったからと思われ、ルーフも一般的な折りたたみ式やハードルーフでなく、独創的なT字型のシングルグラスファイバーフレームを採用し、リヤスペースに収納可能となっています。おとぼけマシンのわりに、ヴァレは至れり尽くせりな設計にこだわっていますね。

 シャンテクレールは1956~1958年の間におよそ200台が販売されたとのことですが、現存するのは10台に満たないのだとか。それもあって、オークションに出てくることは稀で、記録としては5万3200ドル(およそ843万円)と、欲しくなっても一家に1台というわけにはいかないお値段かもしれません。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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