この記事をまとめると
■サンダーバード2号に似た多機能型農業ロボット「雷鳥2号」などを製造するテムザック
■2000年から人と共存しながら働くロボットの研究・開発を続けている
■テムザックのロボットはどれもユーモアに溢れていながら実用的なのがポイントだ
二度見必至のロボットたち
宮崎県延岡市の田んぼを疾走(?)する、サンダーバード2号によく似た何らかのマシンの動画。ここでは仮にそのマシンの呼び名を「2号そっくりさん」とさせていただくが、2号そっくりさんは田んぼの真ん中で急停止し、車軸のようなものをギリギリと回転させ始める。……この後は、お尻あたりからのジェット噴射によって空高くを目指すのか? と思いきや、2号そっくりさんはその場に留まり、農作業らしき行為をやり始めた。
筆者が勝手に「2号そっくりさん」と名付けたこのマシンの、正しい名称は「雷鳥2号」。株式会社テムザックが開発した多機能型農業ロボットだ。
テムザックがロボット開発の専門会社として誕生したのは2000年のこと。もともとは「高本商会」という製造ラインメーカーで、漁業に用いられる船内ベルトコンベアの製造ラインなどを製造していたという。
ロボット開発に参入することになったきっかけは、1993年に本社新社屋を建て替えた際、無人搬送台車に手と足をつけて受付案内させようと考えてロボットを作ったことだった。これがテムザックの第1号機だ。ちなみに「テムザック(TMSUK)」とは「高本商会受付警備」の頭文字から取ったものであるとのこと。
その後、1996年には「35通りの大阪弁の会話ができる」という2号機を製作し、1997年にはPHSで遠隔操作が可能な3号機をローンチ。1999年には、機動戦士ガンダムに登場する「ジオング」のようなシルエットのロボットを製造し、これはテレビ番組『THE!鉄腕!ダッシュ!!』にも登場したため、ご記憶の方もいるかもしれない。
さらに、その後のテムザックは、人手不足が叫ばれるさまざまな業界(医療・介護・災害救助・建設・鉄道など)において、産業用ロボットではなくコミュニケーションロボットでもない、「人と共存しながら、より実用的な業務を遂行する働くロボット=ワークロイド」の研究と開発を真面目に重ねてきた。
冒頭でその動きを商会した「雷鳥2号」も、耕作放棄が懸念される小規模な圃場や、不整形な条件不利農地でも稼働することが期待されているマジメなワークロイドだ。雷鳥2号は各種アタッチメントを付け替えることで、耕起や収穫などを完全電動で行うことができ、4輪それぞれをモーターで動作させることにより、前後移動や横移動、その場での旋廻といった動きが可能になっているとのこと。将来的には完全自律走行および「群れ化」により、農業のさらなる省力化を目指しているという。