街角でヒッチハイクのようにクルマを止めて料金交渉! ライドシェアの源流はロシアにあった (2/2ページ)

白タクの源流はロシアにあり!

「それでは一般のモスクワ市民は地下鉄や路線バスでしか移動しないのか?」と聞き返すと、ある街角で大通り脇の歩道でしかも車道寄りに(モスクワの大通りの歩道はかなり広い)、日本で言うところの「タクシーに乗ろうとしている」ように立っている女性がいた。

 その女性は通りを走るクルマに手を使って何やら合図をしていた。すると、1台のラーダ(ロシアブランド車)が停車し、しばらくすると助手席に女性を乗せて走り去っていった。「合図する人がいるとクルマがそこに停まります。合図をした人と停まったクルマが同一方向に向かい、金銭的交渉が成立すると、同乗して目的地まで送ってもらうことになります。このスタイルがモスクワでは一般的ですね」と駐在員が教えてくれた。その後モスクワ市内をひとりで歩いていても、同じような光景によく遭遇することとなった。

 帰国するとき、とりあえずホテルのフロントに「空港に行きたい」と伝えると、空港へ向かうまで少し時間があった。フロントからは「時間になったらクルマを用意しておく」と言われたので、時間になって戻ると、アゼルバイジャンから出稼ぎに来ているというドライバーが運転する、ロシアブランドの「ヴォルガ」という、ソビエト時代を思わせる中型セダンの白タクが手配されていた。

 その後2014年に再び訪れると、空港には黄色のボディに行灯(日本での社名表示灯)が屋根についていたので、タクシーかと思って乗ったら、じつは「なんちゃってタクシー」で、結局白タクとほぼ同じものであった。2016年に訪れたときは、事前に空港からホテルまでの送迎サービスを頼んで移動に使った。

 そして2018年にようやく、れっきとしたタクシーでモスクワ市内に向かうことができた。2018年にモスクワ市内を訪れるとロシアでサッカーワールドカップが行われた直後ということもあり、海外から多くの人が訪れるために整備されたらしく、街なかにきちんとしたタクシーが走るようになった。ちなみにタクシー車両はヒョンデや起亜といった韓国ブランドのほか、中国車が目立っていた。

 筆者はモスクワを訪れるといつも同じホテルに泊まるのだが、帰国の際に呼んでくれるのはいつも白タクであった。しかも、空港からホテルへ向かうときの正規タクシー料金(おそらく)よりも、帰国時の白タクの料金のほうが安いという結果に驚きながら日本に帰国した。

「ライドシェアの原型はロシアにあり」、筆者はいまでもそう思っている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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