この記事をまとめると
■2023年夏にランドクルーザー70を継続販売をするというアナウンスがあった
■ランクル70がこれほどまでに人気を集める理由を考察
■今後、ランクル70ほど本格的な国産オフローダーは現れないかもしれない
40年間作り続けられているのは信頼の証
昨年夏、トヨタがランドクルーザー(ランクル)プラドに代わるニューモデル、ランドクルーザー250を発表するとともに、数年前に期間限定で日本市場に復活させた70を、今度は継続販売するとアナウンスした。そのときの反応はマニアックな人ほど、250より70に対して「おおっ!」という声が多かったような気がする。
ではなぜ70はマニアから羨望の眼差しを受けているのか。やはり1984年に誕生以来、40年間基本設計を変えずに作り続けらていることは大きいだろう。
もちろんその間、エンジンは何度も入れ替えられたし、フロントサスペンションはスプリングがリーフからコイルに変わったりして、内外装も手直しを受けてはいる。しかし、頑丈なラダーフレームに前後リジッドアクスルのサスペンション、パートタイム式4WDという基本構成は不変だ。
モデルチェンジせずに長い間作り続けられているということは、それだけマーケットの信頼が厚いことを意味する。
70の場合は、アフリカやオーストラリアなどの原野に分け入り、そのまま帰ってくることを目標に開発された。その性能が、デビューから40年経ったいまでも第一級であるからこそ、基本を変えずに生産を続けているのだ。
とはいえ、デビュー直後は少し前に三菱からパジェロが出ていたこともあり、70は昔ながらのクロスカントリー4WDとして扱われた。そこでトヨタはパジェロの対抗として、70ベースの乗用車版を開発。これがプラドになり、昨年250に進化した。
逆にフラッグシップのステーションワゴンは当時は60で、現在の300まで4回モデルチェンジをしている。つまり、3つのランクルというフォーメーションができる前から生き続けている唯一のモデルでもある。
とはいえ70、いまの道で運転するのに困るというほどではない。僕はこの業界に入って最初に所属したのがSUVやミニバンなどを扱う雑誌だったので、70は新車当時から乗っているが、数年前に再販されたモデルに乗って、進化の度合いに驚いた。
乗り心地は良くなっているし、V6ガソリンエンジンだったこともあって音も静かで、これなら普段使いできると思ったものだ。
加えて新型は、1ナンバーから3ナンバーになり、エンジンはV6ガソリンから4気筒ディーゼルターボ、トランスミッションはマニュアルからオートマチックになるなど、多くの人にとって所有しやすいスペックに変わっている。
購入希望者が殺到して抽選が行われたというし、エンジンは豊田自動織機が開発したものなので、認証不正問題の影響で生産がストップしたりしているが、それを理由に購入をあきらめる人は少ないはず。
ヘリテージ性を備えながら現役SUVトップレベルのポテンシャルを持つ日本車は、今後もなかなか現れそうにない。それを考えれば、待ってでも手に入れるのが正解ではないだろうか。