【試乗】新型スイフトは運転しやすく燃費も良好! 乗り心地の硬さと後席だけは購入前に要チェック (2/2ページ)

新型エンジンとマイルドハイブリッドで走りも燃費はヨシ!

 エンジンは直列3気筒1.2リッターを搭載する。ノーマルタイプも用意されるが、試乗車はマイルドハイブリッドシステムを採用する上級のハイブリッドMZ(2WDの価格は216万7000円)だ。先代型は直列4気筒だったから、新型の3気筒はノイズで不利になるが、音質は上手にチューニングした。静かではないが、騒々しい印象は受けない。

 動力性能は1.2リッターエンジンの平均水準だが、スイフトはボディが軽い。装備の充実するハイブリッドMZでも2WDなら950kgだから、ライバル車を50kgから100kg近く下まわる。そのために加速は軽快だ。実用域の駆動力はもう少し高いと好ましいが、4400回転付近からは機敏に吹け上がる。ハイブリッドMXにはCVT(無段変速AT)に加えて5速MTも用意され、運転の楽しさも味わえる。

 新しい1.2リッターエンジンで注目すべきは燃費性能だ。マイルドハイブリッドのWLTCモード燃費は、CVTが24.5km/Lで5速MTは25.4km/Lに達する。後者の数値はコンパクトカーのフルハイブリッドに近い。また、先代マイルドハイブリッドのCVTは21km/Lだったから、新型のCVTに乗り替えると、燃料代を14%節約できる。

 プラットフォームとタイヤは先代型と共通だが、ボディに減衰特性を持たせた接着剤を使うなど、剛性を最適に設定している。先代型のプラットフォームを継続的に使用したことで、熟成が図られ運転感覚も向上した。

 たとえば峠道を走っているとき、カーブへ進入するためにステアリングホイールをまわし始めると、車両の進行方向も正確に変わる。従来型も不満はなかったが、新型では正確性が一層高まり、運転していて車両との一体感を味わえる。

 カーブを曲がっている最中には、前輪が確実にグリップして旋回軌跡を拡大させにくい。カーブが内側へまわり込んでいくような場所でも走りやすい。その一方で、下り坂のカーブでブレーキペダルを踏むような危険回避の操作をすると、コンパクトカーによっては後輪のグリップ力が下がって車両の動きが不安定になりやすいが、スイフトは接地性が高い。適度によく曲がり、危険を避ける操作も安心して行える。軽さによって走行安定性も優れている。

 この軽さが不利になるのは乗り心地だ。スイフトの場合、タイヤが路上を細かく跳ねるような粗さは抑えたが、硬さは意識させる。大きめの段差を乗り越えると、突き上げ感も生じる。乗り心地はスイフトを選ぶときの注意点だ。

 購入するときは、販売店の試乗車を使って、街なかの路面が荒れた場所を時速40km以下で走りたい。そうすると乗り心地の硬さがわかる。速度が高まると次第に快適になっていく。試乗車に装着されていたタイヤは、転がり抵抗を抑えた16インチのブリヂストン・エコピアEP150で、指定空気圧は前輪が250kPa、後輪は220kPaと少し高い。これらの相乗的な作用で乗り心地が硬めになった。

 装備は安全面を中心に充実している。衝突被害軽減ブレーキは、自車が右左折するときでも、直進車両や横断歩道上の歩行者を検知して作動する。全方位モニター付きメモリーナビをオプション装着すると、ドライバーの居眠りや脇見運転を検知して警報する機能も備わる。

 グレード選びは、実用的にはベーシックなXG(2WDの価格は172万7000円)でもいいが、買い得グレードはマイルドハイブリッドを搭載する中級のハイブリッドMX(192万2800円)だ。XGに装着されないマイルドハイブリッド、アイドリングストップ、フロントメッキグリル、エアロパーツ、アルミホイールなどが加わり、これらを価格に換算すると22万円に相当する。XGと比べたときの価格アップは19万5800円に抑えたから割安だ。

 販売店によると納期は2〜3カ月で購入しやすい。通常は2名以内の乗車で、運転のしやすい上質かつ割安なコンパクトカーを買いたいユーザーには、スイフトは魅力的なクルマに仕上がっている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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