走りを追求し尽くすとクルマはこうなる! タイプRの心臓をぶち込んだ公道を走れるフォーミュラ「アリエル・アトム」がスパルタンの極み (2/2ページ)

ホンダエンジン搭載で超刺激的な1台に!

 アトム3はその後、2013年には「アトム3.5」へと進化するが、これは搭載エンジンに変更はないものの、おもにフレームの強化やノーズコーンの延長などを施したマイナーチェンジモデル。メーターパネルがデジタル式となるなど、コクピットの雰囲気もより現代的になった。最高出力はスーパーチャージャー版のみ314馬力に向上した。

 さらにアリエルは、アトム3と3.5の間には10台の限定車として「無限チューン」を、また3リッターのV型8気筒エンジンを482馬力の最高出力で搭載するとともに、500kgの車重を実現した25台限定の「V8」を、いずれも2010年に発表。アリエルの名はスポーツカーのなかで、さらに存在感を増していくことになったのである。

 そして現在、彼らが生産しているモデルが2018年にデビューを飾った「アトム4」だ。ここまでのヒストリーを読んでいただければ理解できるように、アトムの車名に付される数字は、搭載エンジンが変わると最初の数字がひとつずつ進む。

 ちなみにアトム4で選択されたパワーユニットは、ホンダのシビックタイプR用、すなわちK20C1型で2リッターの直列4気筒であることは変わらないが、じっさいにはそれをターボ化するなど、ベースのK20C1型エンジンから流用された部品はほぼないといっても、それは間違いではないくらいだ。最高出力は324馬力と355馬力の2タイプ。両エンジンの違いはECUのマッピング、そしてエグゾーストのデザインにある。トラス構造のパイプフレームも、剛性を高めるためにその太さが拡大された。

 アトム4のバリエーションとしてラインアップされる「アトム4R」は、エンジンの最高出力をさらに405馬力に高めたモデル。サイドポンツーンはもちろん標準で、それはエンジンの冷却に必要不可欠なアイテム。左側には追加のラジエターが、また右側にはインタークーラーがレイアウトされている。ターボのブースト圧は3段階に調節ができる。

 オプションではあるが、ミッションにクワイフ社製の6速シーケンシャルマニュアルを用意しているのも走りを極めるファンには嬉しい。なにしろエア圧で1秒間に5段ものシフトをフルスロットルのまま実行してくれるというのだから。

 アリエルのアトム・シリーズ。それはスポーツカーが次々に電動化していくいま、もっとも古典的なコンセプトではあるがスパルタンで面白い、そんなモデルといえるのかもしれない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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