小さなパジェロはたちまち大人気に!
パジェロシリーズはパジェロ・ミニだけにとどまらない。1995年にはパジェロ・ミニをベースに大型バンパー、オーバーフェンダーを装着したパジェロ・ジュニアが登場。3ドアSUVであることはパジェロ・ミニ同様だが、パワーユニットは4気筒1.1リッター、80馬力、10.0kg-mユニットを3速ATまたは5速MTとともに搭載。つまり、軽自動車ではない、全長3500×全幅1545×全高1660mm、ホイールベース2200mm(パジェロ・ミニ全長3295×全幅1395×全高1630mm、ホイールベース2200mm)のミニなパジェロだった。駆動方式はイージーセレクトの4WDのみである。
プラットフォームをパジェロ・ミニと共用しているものの、ワイドトレッド化によって、悪路走行に適するだけでなく、パジェロ・ミニに対してオンロードでの走行性能を高めたところがジュニアらしさ。ただし、室内空間はパジェロ・ミニと変わらず、維持費面でもパジェロ・ミニに対して不利であったため、それほどのヒットは望めず、1998年に一代限りで消滅している。
そんなパジェロ・ジュニアの低迷を払拭すべく、1998年にデビューしたのが、パジェロ・ジュニアの後継車でありながら、プラットフォーム、ボディを新規開発したパジェロ・イオだった。
当初、3/5ドア、FRとAWDを用意していたが、2002年の商品改良でAWD、5ドアに統一。ボディサイズは全長3675~4025×全幅1680×全高1700~1750mm、ホイールベース2280~2450mm。パワーユニットは1.8リッター直4、116馬力、16.3kg-m、1.8リッター直4GDIターボ、160馬力、18.5kg-mおよび、2リッター直4、160馬力、19.5kg-mの3種類で、4速ATまたは5速MTが組み合わされていた。
駆動方式はスーパーセレクト4WD-iで、後輪駆動のFR、4WD、センターロックの4WD(Hi/Low)の4パターンの走行モードが選択でき、走破性は本家パジェロに迫るものがあった。このパジェロ・ジュニアは日本国内だけでなく、中国、イタリア、ブラジルなどでも販売され、一定の評価、人気を得て、日本国内では2007年までの9年間に渡って販売。ブラジルでは2014年まで生産されていた。
こうして見ていくと、パジェロ・ミニ、パジェロ・ジュニアは、”早すぎた”パジェロファミリーだったようだ。空前のSUV、アウトドアブームのいま、スズキのジムニー独占状態の軽本格SUV市場、およびトヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーが属するコンパクトSUV市場で、その本格的な走破性を生かし、当時とは異なる人気ぶりを、カスタマイズカーを含めて示してくれるのではないだろうか。
三菱といえばパジェロ、デリカと思う人は少なくないはずで、小さいデリカであるデリカ・ミニの大ヒットが、そう思わせてくれるのだ。もっとも、現時点では三菱の軽自動車のSUVにデリカ・ミニがあるから、拍手喝さいで迎えられるのは、1リッター級のパジェロ・ジュニアのほうかもしれない。