世界で高級ミニバンの需要が急拡大している!
では、D9の走行性能はどうかといえば、筆者はまだ未試乗だが、すでに中国で購入し、走らせた筆者の知り合いによれば(元ミニバン開発者)、乗り心地と車内の静粛性、静粛性ではとくにロードノイズの遮断が見事で、なるほど、メルセデス・ベンツとの合弁会社が開発した超高級ミニバンらしい完成度を誇っていたという。
レクサスLMを始めとするこうしたアルファードを凌駕する超高級ミニバンは世界的にも需要があるようで、たとえばかつてはステーションワゴンメーカーとして知られ、現在では電動車とSUVがメインの北欧のボルボからも、EM90というブランド初のフル電動プレミアムMPVが、まずは中国で登場している。
パッケージは3列シート6人乗りで(2-2-2席)、Orreforsクリスタルのシフターはもちろん、2列目席にはスカンジナビアデザインの究極を行くマッサージ&ベンチレーション機能を持つ無重力クッションを備えたラウンジシートが用意されている。バッテリーは116kWh、航続距離は公称値で最大738kmを達成しているという。
レクサスLMのワールドプレミアが2023年4月の上海モーターショーだったことからも、中国市場から超高級ミニバンが発信されていることは間違いないところ。そのきっかけはもちろん、中国でも大人気の歴代トヨタ・アルファードだったわけだが、アジアの市場でアルファードもうかうかしていられない状況であることは疑いない。
ジャパンモビリティショー2023で、アルファードとヴェルファイアを製造するトヨタ車体が2列シート4座の冷蔵庫を備え、社内会議も可能なヴェルファイア スぺーシャラスラウンジコンセプトを世界初出展していたことからも想像できるように、現時点でのアルファードのさらに上を行く超高級ミニバンの需要がジワジワと高まっているということだ。
とはいえ、レクサスLMは2000万円! DENZA D9も1200万円オーバーの価格(予定)というのだから、庶民、ファミリーミニバンユーザーとは無縁のミニバンでもあるのだが……。
逆に、最新のアルファードのガソリンモデルの559.8万円から最上級のHVエグゼクティブラウンジの850万円という価格が、なんだかお安く!? 感じられたりもするのである。
ただ、そうした流れから、アルファードもせめてPHEV(EVとはいわない)、そしていち早く2列シートの新規グレードを設定してほしいと思える。アルファードのエグゼクティブラウンジがけん引するVIP需要では、3列目席などまず使われないのだから(3列目席を畳むと室内後部が鬱陶しい!)。
アルファード&ヴェルファイアを手がけるトヨタ車体がジャパンモビリティショー2023で先代ヴェルファイアの2列シート仕様を参考出品していたのだから、そのノウハウはすでにあるわけで、D9の対抗としても、意外に登場は近いかも知れない……(あくまで期待)。