「排気音を変える」だけが目的じゃない! 最近のスポーツモデルがマフラー出口部に「蓋」を付けるワケ (2/2ページ)

マフラーのバルブが担う仕事は音量調整だけじゃない

 マフラーに可変バルブを仕込み、排気の通り道を変えるということは、「メインで使うサイレンサーを変える」ことと「排気流量を変える(増やす)」というふたつの効果を狙うことができる。

 前者は排気音のコントロールに利用でき、後者はパフォーマンスの変化につながる。ここで注意してほしいのは、排気流量を上げるほうにバルブを切り替えると、全域でパフォーマンスアップするわけではない……ということだ。

 一般に、排気系を絞って流量を減らすと低回転域でのトルクが稼ぎやすくなる。具体的には、マニュアルトランスミッションの場合は発進時のクラッチ操作が容易になる。「排気バルブを全開状態で固定したほうが高性能になる」と思って、そうした加工をすると発進しづらくなったり、街乗りでギクシャクしたりすることもある。

 いずれにしても、現在の規制においてスーパースポーツと呼ばれるクルマが騒音とハイパフォーマンスを両立するには、排気バルブの切り替え機能は必須といえる。

 排気バルブを閉じるという制御は、騒音を低減するだけでなく、低速トルクを増す効果もある。エキゾーストノートを楽しみたいばかりに全開状態で固定したいオーナー心理もわかるが、全域で性能を楽しみたいのであれば、純正の制御を活かしておくのが賢明だ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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