超ハイスピードで闘うWECマシンなのにリヤウイングがない! 斬新すぎるプジョー9X8の中身 (2/2ページ)

リヤウイングなしでもダウンフォースを発揮する斬新スタイリング

「9」とは905や908といったル・マンウィナーの後継車であることを示し、「X」は駆動方式が全輪駆動であること、そしてそれを実現するためにフロントにエレクトリックモーターを搭載していることを表し、最後の「8」はプジョーの現行モデルの末尾に添えられるものと同じ数字を掲げることで、9X8もまた最新のハイパーカーであることを強くアピールしたものと考えられる。

 注目のスペックは、フロントのモーターが272馬力、ミッドのV型6気筒ツインターボエンジンが680馬力で、これはLMHカーのレギュレーションにおける上限値。

 ちなみにシステム全体での最高出力も680馬力に制限されているので、エンジンがフルパワーを発生している状況下では、フロントのエレクトリックモーターは駆動できない。バッテリーはプジョースポールと、トタルの子会社であるサフトとの共同開発と発表されている。

 正式発表前に公開されたデザインから、実際の9X8のデザインが大きく異なるのは、リヤウイングが備わらないことだ。これはリヤウイングによって得られるダウンフォースがなくても、レギュレーションで定められた、その最大値をクリアすることができたためだったが、2024年シーズンでは、新たなアップデートのなかに、リヤウイング装着というメニューも用意されているという。

 ちなみに、この9X8の市販モデルには、2021年に発表された新しいプジョーエンブレムを始め、最新のインテリアデザイン、i-Cockpitコンセプトが採用されている。今後のレースでの活躍に期待したい1台だ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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