世界に1台だけのワンオフモデル
アルファロメオから「ジュリアSWBザガート」という正式なプロジェクト名を与えられ、実際のデザイン作業に入ったザガート。
そのコンセプトは1961年にデビューした後、GTカーレースで大活躍した「ジュリエッタSZ」などからモチーフを得たもので、片側3灯式のヘッドライトや、リヤをほぼ垂直に切り落とすコーダトロンカの手法は、やはりザガートが1990年に手がけた「アルファロメオSZ」にも似た雰囲気を醸し出している。
前後オーバーハングの短さとホイールベースの短縮は、じつにバランスの良いサイドビューを作り上げている。ルーフはもちろんザガート伝統のダブルバブル形状。
そのデザインこそ、初期段階からアルファロメオのデザイン部門責任者、アレハンドロ・メソネロ・ロマネスと、彼の率いるチームの全面的な協力を仰いではいるものの、製作はすべてザガート自身によって行われたというジュリアSWBザガート。
インテリアはエクステリアと同様にグリーンを効果的に使用したものだが、基本デザインはベースのジュリアGTAmから変化はないが、左右2脚のシートには、ザガートとアルファロメオのロゴがあしらわれる。
フロントに搭載されるエンジンは、540馬力の最高出力と600Nmの最大トルクを発揮するV型6気筒ガソリンツインターボ。これに6速MTが組み合わされ、後輪を駆動する。0-100km/h加速のタイムは3.5秒未満とされる。
ジュリアSWBザガートの生産台数はもちろん1台。すなわち前で触れたドイツ人カスタマーのためのワンオフモデルだ。世界のどこかの著名なイベントで、我々はその美しくアグレッシブな造形を得たクーペの姿を見ることができるのだろうか。できればそれを期待したいところだが。