この記事をまとめると
■かつてはターボエンジンよりも自然吸気エンジンのほうが低燃費というのが常識であった
■ターボエンジンは熱効率に優れていたが効率のよい制御ができていなかった
■最近は制御技術が発展したほか、ダウンサイジングターボの登場で低燃費化に貢献している
NA=低燃費の認識はもう古い?
「常識」という言葉は基準があいまいなので、あまり使いたくないが、自動車業界におけるコンセンサス(≒ユーザーの共通認識)を手短に表現するのに「常識」という二文字が便利に使われているのは事実だ。
とはいえ、そんな常識も時代によって大きく変わってくる。ここでは「ターボ」という言葉から連想するであろう常識について、振り返ってみたい。
日本車に初めてターボエンジンが登場したのは1979年、元号でいうと昭和54年のことだ。栄えある国産初ターボを搭載したのは日産の高級モデル「セドリック/グロリア」で、2リッター直列6気筒「L20」エンジンにターボチャージャーをプラスしたものだった。
その後、元号が昭和から平成に変わるころ、すなわちバブル経済全盛期の前後は、国産車におけるターボ全盛期でもあった。先頭を走っていたのは三菱自動車で、軽自動車から大型セダンまでフルラインとなる「ターボ」ラインアップを揃えてみせた。
国産ターボのトップランナーである日産も、コンパクトカー「マーチ」にもターボを設定するなど1980~90年代は、どのメーカーもターボエンジンが幅広く設定されていた。
当時のクルマ事情を示す映画の名作『私をスキーに連れてって』といえば、2リッターターボを積むトヨタ・セリカGT-FOURを思い浮かべがちだが、じつは主人公が乗っていたのは同じトヨタでもエントリー系モデルの「カローラIIリトラGPターボ」。カローラIIに1.5リッターターボエンジンが載せられていたのが、この時代だったのだ。
前置きが長くなってしまった。この時代、ターボエンジンの常識は「パワフルだけど、そのぶん燃費が悪い」というものだった。
日本初のターボエンジンの認可を受ける際、日産は省燃費技術として申請したという裏話もあるが、現実として燃費が良いとはいえないシロモノだったのだ。