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【試乗】ステアリングとLSDの変更で「ロードスター」の走りが激変! レーシングドライバーに「欲しい!」と思わせるクルマが誕生した (2/2ページ)

【試乗】ステアリングとLSDの変更で「ロードスター」の走りが激変! レーシングドライバーに「欲しい!」と思わせるクルマが誕生した

この記事をまとめると

マツダ・ロードスターがマイナーチェンジを実施

■ハーネス関係を新規のものと入れ替えたことにより新機能などが追加されている

■走りの面でもパフォーマンス向上が図られている

マイナーチェンジで別のクルマに!

 世界的人気を誇るマツダ・ロードスターが、2024年モデルとして新たに大幅改良を受けた。 今回、その新型に一般道、ワインディングロードを中心として試乗することができたのでリポートしよう。 試乗グレードはさまざまだが、1.5リッターソフトトップのSグレードVセレクション、さらに2リッターモデルのRSに試乗することができた。

 まず、最初に乗ったソフトトップのVセレクションは、 レザーパッケージで仕上げられ、内装面でのイメージアップが大幅に図られている。 とくに8.8インチナビゲーションモニターが、より従来のものと比べて大型化し視認性を高めるとともに、時代にマッチした装備となっている。

 これらが採用されたきっかけとなったのは、 これから販売される車両に求められるサイバーセキュリティへの対応により、電子機機器プラットフォームやハーネスなどを一新しなければならなかったことによるという。ロードスターも登場して数年経つが、 この新しい法律に則り、ハーネス類のプラットフォームを刷新することが必要となり、CX-60などで使われているものをさらに小型軽量化して採用することになった。

 このハーネスを使用すると、ヘッドライトなどのLED化なども可能となり、 ナビゲーションモニターだけでなく、さまざまな電子機器、 オートクルーズコントロールなども含めて搭載可能となる。時代の進化に応じた近代的なクルマに仕上げられたといえるだろう。

 しかし、今回の注目ポイントはそうした装備面だけの話ではない。 もっとも注目すべきは走行性能に関わる部分で、ひとつにはステアリングギヤボックスをデュアルピニオンの最新仕様としたこと、またスーパーリミテッドスリップデフといわれていたLSDを新開発アシンメトリカルLSDとして採用したことなどによる。

 1.5リッターのソフトトップを採用するVスペシャルセレクションは、走り始めるとすぐにこうした走行性能に関わる部分の改良が大きな効果を発していることが感じ取れた。

 ステアリングが非常にしっかりとした操舵フィールになり、乗り心地も快適になった。走り始めて数十メートル進んだだけで、「お、何かが違うぞ」と感じさせるに十分な質感の高まりを感じ取ることができたのだ。 路面から伝わるステアリングインフォメーションに雑さが消え、 必要な情報が必要な量だけ伝えられるようになった。

 このデュアルピニオンのラックアンドピニオンステアリングシステムは、サプライヤーから供給されるもので、近年登場する最新の国産モデルの多くが採用しているが、 マツダはさらにそのチューニングにこだわり、独自の味付けを施したそうだ。 ラックのケーシング剛性が高まり、またブッシュを廃して車体に直付けしたことでフリクションが低減。さまざまなインフォメーションが正確に伝わり、ステアリング操作に対しても正確にホイールを動かすことができるようになったといえる。

 さらにワンダリングなど轍の影響、外乱などを受けにくくなり、 クルマ全体の剛性が上がったかのように質感の高い操舵フィールを実現することが可能となっている。

 コーナーに進入していく部分になると、今回採用された アシンメトリックLSDが非常に効果的に作動していることがわかる。このLSDは、従来スプリング式の強力なスーパーLSDを装着していたものに対し、新開発の仕組みを採用していて、カムのプロファイルを加速側と減速側で変更することにより、最適な作動差制限を行うことが可能となっているものだ。

 従来、1.5WAYのLSDといえば、減速側を弱くしてコーナー旋回時のエンジンブレーキのかかりをスムースにして旋回性を高める一方で、加速側は強化して駆動力を路面に余すところなく伝えるのが一般的だが、このアシンメトリカルはその逆で、コーナーのターンイン時に強い作動制限力を加え、加速時には弱めているのが特徴だ。

 これはロードスターのパッケージング的に、リヤの荷重が、とくに減速旋回時に抜けて不安定な要素となりうることに配慮し、減速旋回時にはリヤの作動を強め、悪路などでも安定性を高めることを狙いとしている。

 一方、加速時には1.5リッターのパワーはそれほど大きくなく、フリクションによって走行抵抗を発生させないよう、あえて弱めの設定としているのである。 こうしたチューニングによって、街なかでも扱いやすく、また必要なときには駆動力も制動力も十分に引き出せるよう、独特なLSDシステムとして完成させられているのである。

 この新型のステアリングシステムとLSDの装着により、まるでフルモデルチェンジを受けたかのようにロードスターの走りが洗練されたのを見ると、驚くほどの効果があったといえる。

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