この記事をまとめると
■エンジン車は高速燃費が優れているのに対してEVでは高速で電費が悪化する
■EVが高速で電費が悪いのは変速しないことに大きな原因がある
■EVの電費改善にはさまざまなアプローチがなされており、将来的には高速巡行電費も改善することが予想される
クルマが高速走行を得意としているのはエンジン車だからだった
「エンジン復権」という表現を見かけることもあるが、それは世界の自動車メーカーは基本的に電動化に向かっていることの裏返しでもある。
昨今の気候からも体験できるように地球温暖化は確実に進んでおり、ゼロエミッション(排ガスを出さないこと)は、将来的に自動車が存在するための必須条件といえるからだ。
人工燃料などエンジンによりカーボンニュートラルを実現するソリューションも研究されているが、乗用車の世界でいうと、エンジン車からEVへシフトすることが既定路線というのが大きなトレンドだ。
そうしてエンジン車からEVへ移行するなかで、ユーザー意識や感覚を切り替えることも求められている。
たとえば、エンジン車の燃料消費率(燃費)とEVの交流電力量消費率(電費)を比較すると真逆の特性になっていることはご存じだろうか。「クルマというのは高速巡行がもっとも燃費がいい」と信じているかもしれないが、それはエンジン車の特徴であって、EVになると話がまったく違うのだ。
具体例として、日産サクラ(EV)とデイズ(マイルドハイブリッド車)という、同じメーカーの軽自動車の電費と燃費を比べてみよう。下の表をみれば、そうしたパワートレインによる燃費・電費における特性の違いは一目瞭然だ。同じ最高出力47kWで揃えた両モデルのWLTCモードは以下のようになっている。
EVの電費は1kmを走るのに必要な電力量で、エンジン車の燃費は1リットルで走れる距離という風に真逆の単位となっているのでわかりづらいが、イメージとして電費は数字が小さいほど優秀で、燃費は数字が大きいほど優秀と理解すればいい。