この記事をまとめると
■クルマ好きが思わずワクワクするグレード名をいくつか紹介
■国産車はスポーツ性能を強調するようなグレード名が多い
■輸入車では進化を意味する単語やレースカーに使用されたロゴが使われるなどさまざまなバリエーションがある
見るからにスポーティ指数が高そうな文字列
いわゆる普通の人がそれを聞いてどう感じるのかはわからないが、クルマ好きがその文字列を見ると、否が応でも血が騒いでしまうグレード名というのはいくつかあるものだ。
代表的なところでは日産スカイラインGT-Rの「Vスペック」だろうか。
ご存じのとおりR34型GT-RのVスペックとは、専用エアロパーツや専用チューニングされたサスペンション、アクティブLSDなどを装着した仕様で、2000年8月に登場したVスペックIIは、量産車初のNACAダクト(National Advisory Committee for Aeronautics)付きカーボン製エンジンフードや、アルミ製ペダルも採用した……などの細かい話はどうでもいいとして(なんていったら怒られそうだが)、とにかくVictory Specifications(勝利のスペック)であるところの「Vスペック」という字面を視認するだけで、スカイラインGT-R愛好家ではない私ですら、脈拍が若干速まるのだ。
また、国産車ではホンダの「タイプR」という字面と音も、とくにホンダ車愛好家ではないはずの私の脳内にアドレナリンを送り込む。
ホンダは公式サイトのなかで、「TYPE Rは、レーシングカーが持つ速さと圧倒的なドライビングプレジャーを追求するモデル」といっているが、タイプRの「R」はまさにRacingの「R」。快適性を犠牲にしてでも軽量化を施し、足まわりを固め、エンジンをチューニングすることで、タイプRのコンセプトである「速さ」と「圧倒的なドライビングプレジャー」を獲得するという道筋は、まさに男道。
いや女性がタイプRに乗るのも200%ステキなわけだが、あの赤いエンブレムを見かけるだけで、私のなかのサムライ精神が思い出されてしまうのだ。先祖は農民だったような気もするが。
そのほか、国産車ではトヨタ・チェイサーの「ツアラーV」も、ある種の人々の胸をアツくする文字列だろう。5代目チェイサーからラインアップされたツアラーVは、当時の自主規制枠上限である280馬力の最高出力と、38.5kg-mへと増強された可変バルブタイミング機構付きの2.5リッター直6DOHCシングルターボエンジン「1JZ-GTE」を搭載。
ツアラーVの「V」が何に由来しているのかは不明だが、最高出力200馬力の自然吸気エンジンを積むツアラーS(このSはたぶん「Sport」または「Special」のSだろう)以上の存在であるツアラーVのグレード名には、その字面と音にツアラーS以上の切れ味と重厚感がなければならない。
そう考えたとき、例えば「ツアラーA(エース)」でも切れ味的にはOKな気もするが、「A」だと重厚感にはやや欠ける。また、字面から中森明菜の『少女A』を想起させてしまうというのも「A」の難点だ。
ならば「ツアラーX」でどうかとも思うが、「X」は切れ味十分であるものの、Luxury(ラグジュアリー)をイメージさせる文字でもあるため、スポーティ感は減じてしまう。そして、「ツアラーZ」も切れ味は十分だが、当然ながら日産の超有名なクルマを想起させてしまうため、やはりボツである。となると、1JZ-GTEを搭載するツアラーSの上位存在は「ツアラーV」でしかあり得なかったのだ。