この記事をまとめると
■クライスラー300Cが2023年で生産を終了した
■300Cは、クライスラーが復活を果たしたころにリリースしたクルマという印象が強い
■乗り味もじゃじゃ馬だったが、300Cには楽しいクルマという印象が残っている
新世代「300」の20年の歴史に幕
クライスラー「300C」の生産が2023年末に終わった。そう聞いて、300Cを知る人の多くは「えっ、まだ現役だったの?」と驚くかもしれない。また、アメ車に対して興味があまりない人にとっては、300Cというモデル名すら知らないだろう。
筆者にとっての300Cは、長きに渡るアメリカ生活のなかで心惹かれた1台であった。
その背景には、2000年代前半から中盤にかけての元気だったクライスラー(当時)の、「いったい何をしでかすかわからない」という企業としての魅力があった。
時計の針を少し戻そう。
2001年1月、北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)でクライスラーが出展した「ダッジ スーパー8 HEMI」。一般的に「上屋(うわや)」と呼ばれる、ボディサイドラインの上側が極端に狭く、しかもフロントガラスの形状に特徴があり、4ドアのような5ドアのような、近未来的なようで古典的なような……。なんとも表現することが難しいのだが、なんだかとても心に残るデザインであった。
古き良きアメリカと呼ばれる時代は存在感が強かったクライスラーとダッジというブランドが、やや色褪せた印象となった1980〜90年代半ばくらいまでのころ、当時のクライスラーは、アメリカではGM(ゼネラルモーターズ)、フォードに次ぐ米ビッグ3のなかのナンバー3という立ち位置だった。
それが、1990年代後半になると様相が変わる。ピックアップトラックの乗用化とSUVの台頭が始まったのだ。そんな上昇気流に乗ったクライスラーを、ダイムラー(当時)が1998年に買収し、社名がダイムラー・クライスラーとなった。