海外では5ドアが登場したけど3ドアこそ至高! スズキ・ジムニー3ドアには魅力しかなかった (2/2ページ)

使い勝手以外の部分ではほとんど3ドアジムニーが優れている

 2つめは、軽さにも関連しますが、ジムニーの肝ともいえる悪路走破性。これは日本ではあまり本領発揮する場所が少ないですが、砂漠や岩場などに行ってみると、いくらパワーがあったとしても重いボディは必ずネックになる場面があります。

 砂漠ではズブズブと砂地に沈んでしまうし、砂丘では尻もちをついてスタックしてしまう。岩場ではジムニーならひらりひらりと登っていくところを、重くなればなるほど、持ち上がらなくて前に進めなくなってしまう場合もあるのです。とくに、乗り越えた障害物がアンダーボディに接触せずに超えられる角度を示す、ランプブレークオーバーアングルは、ジムニー3ドアが28度なのに対して、5ドアは24度に変更されているので、尻もちをつく可能性が少し高いということでしょう。

 3つめは、やはりボディサイズがギュッとコンパクトにまとめられている3ドアの方が、市街地や狭い林道などでの取りまわし性能が抜群です。軽自動車のジムニーのボディサイズは、当然ながら軽規格の全長3395mm、全幅1475mm、全高1725mm、最小回転半径は4.8m。シエラは全長3550mm、全幅1645mm、全高1730mm、最小回転半径は4.9mです。

 それが5ドアとなると、全長3985mm、全幅1645mm、全高1720mm。全幅は変わりませんが、全長は435mm長くなり、最小回転半径はなんと、5.7mにまで大きくなってしまいます。5.7mというと、SUVではトヨタ・ハリアーと同じ。キビキビと小まわりが効く感覚ではないことが想像できますね。

 4つめは、個人の好みにもよりますが、潔くてまとまりの良いデザインとなっているのも、3ドアならではでしょう。現行モデルのジムニーは、デザインにひと目惚れして購入した人も多いと聞いています。張り出したホイールアーチの間にちょうどドア1枚がはまり、バランスよくアクティブで、間延びしないデザインとなっているのが3ドアです。

 5ドアは後席用のドアだけでなく窓もひとつ多くなりますので、グラスエリアが多い印象も加わり、どちらかというとドッシリとした存在感のあるデザイン。世界最小の本格4WDであるというジムニーの個性が、より強く感じられるのは3ドアではないでしょうか。

 5つめは、価格や維持費が抑えられることも忘れてはいけない3ドアの美点です。軽自動車のジムニーのみならず、登録車のシエラまで、いまどき200万円以下という車両価格。インドで2023年6月に発売された5ドアの価格は127万4000ルピーなので、2024年1月現在のレートで日本円で約226万円。

 もし、この先日本で発売されることになっても、3ドアのジムニーシエラよりさらに20万〜30万円程度は価格アップすることが予想できます。エンジンは1.5リッター搭載なので、自動車税はシエラ同等だと思いますが、軽自動車のジムニーと比較すると税金は大きくアップ。維持費のことまで考慮すると、やはり3ドアのジムニーが最強といわれるのも納得です。

 ということで、5ドアのジムニーと比べても3ドアの魅力はたくさんあります。後席へのアクセスという、少しの不便に目をつむってでも乗る価値はあると感じますが、皆さんはどちらを選びますか?


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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