この記事をまとめると
■ホンダの看板車種であるシビックには多種多彩なバリエーションが存在した
■商用車からクーペ、セダン、クロスオーバーモデルと豊富に展開されていた
■海外専売モデルも存在しているほか、日本でも50年ぶりにシビックにRSが復活する
シビックには想像以上に幅広いバリエーションが存在した
1972年に誕生した初代ホンダ・シビックは、第一次オイルショックにいち早く対応した低公害CVCCエンジンを搭載し、世界的な大ヒットを記録。当時、苦境だったホンダを蘇らせた、日本の、ホンダの自動車史に残る歴史的名車だった。
以来、2代目スーパーシビック、3代目ワンダーシビック、5代目スポーツシビック、6代目ミラクルシビック、7代目スマートシビック……といった名称でも知られる、ホンダの基幹車種に育っていった。10代目からは主戦場たる北米のニーズにも合わせた全幅1800mmのワイドボディを用い、動力性能や操縦性を含め、地を這うようなワイドスタンスのスポーツモデルへと変身。もちろん、マニア垂涎のタイプRの存在も、シビックの根強い人気を後押ししてきた。
そんなシビックには、かつて異種とも言えるバリエーションがあった。まずは1974年に発売されたシビックバンがある。ホンダが製造していた小型商用車のL700/800の後継車となるライトバンであり、顔つきは当時のシビックそのまま。2/4名乗車の働くクルマとして活躍した。
1980年にはシビック・カントリーが登場する。もちろん、アメリカ車でも流行ったステーションワゴンタイプのシビックで、アメリカのステーションワゴンのアイコンでもあるボディサイドに貼られた木目調パネルが特徴(当初はオプション)。
主力市場の北米ではシビックワゴンを名乗り、1980年にモータートレンド誌主催の北米インポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほどの人気ぶりだった。
かなりの変わり種としては、1983年に発売された、3代目シビックの5ドアのワゴン版となる初代シビック・シャトルがあった(日米)。シャトルは商用車ではなく、一般ユーザー向けで、別に商用タイプも用意されていた。
そのシャトルは1987年に4代目シビックの登場と合わせて2代目となり、比較的記憶に残る1台。1994年に追加されたビーグルグレードは、カンガルーバーやフォグランプをフロントに備えた、ある意味、ホンダ初のクロスオーバーモデルと言うべき存在である。
そしてそのシャトルという車名は、フィットシャトル、ホンダ・シャトルという5ナンバーサイズのステーションワゴンに引き継がれることになる。とはいえ、じつに使いやすかった、愛犬家にも人気のホンダ・シャトルは2022年末、惜しまれながらも生産を終えている。
ちなみにシビック・シャトルには4ナンバー、ライトバン=商用版もあり、シビックプロという車名で初代は1983年に登場。1996年までプロが存在した。