違う名前で出ています! 商標の壁であえなく「別名」を名乗ったクルマたち (2/2ページ)

違う名前でも意外と悪くない?

ルノー・ルーテシア

 1991年、日本に導入されたルノーのFF2ボックス。それまでの5(サンク)に変わって、懐かしのJAX(ジャックス)が輸入していたコンパクトカーです。が、こちらも本国では「クリオ」という車名だったにも関わらず、日本では「ルーテシア」に変更されたのです。

 お察しの方も少なくないでしょうが、クリオはホンダのディーラー名として商標登録されていたことが理由です。この際、「乗物その他の移動用の装置」分野での登録に加え、ホンダは自動車の名前でも登録していたのでしょう。

 さほど規模の大きくなかったJAXは、ホンダという大企業を前にあえなく名称変更に踏み切ったのでしょうが、なかなかどうして「ルーテシア」もさほど悪いネーミングとは思えません。大昔、ラテン語でパリはルテティア(Lutetia)と呼ばれていたことから、翻ってLuteciaはパリや都会を表しているのだそうです。ちなみに、Lutetiaはラテン語で泥を意味する「Lutum(ルトゥム)」に由来するそうで、昔のパリは泥や沼に囲まれていたようです(笑)。

三菱チャレンジャー

 こちらは逆に商標登録がハードルにならなかったケース。チャレンジャーといえば、ダッジのマッスルカーを思い起こす方がほとんどでしょうが、どっこい三菱にもパジェロをベースとした元祖SUVかのようなクルマがあったのです。1996~2001年まで国内で販売され、ガソリン、ディーゼルともに2タイプのエンジンを用意し、パジェロよりも広い室内&荷室、そして車格に見合った足まわりのセッティングなど、なかなか意欲的なモデルでした。

 一方、本家ダッジのチャレンジャーは、1970年代はじめには国内に輸入されていたものの、商標登録はされていなかったものと思われます。それゆえ三菱は大手を振って名付けることができたのかと。

 また、ややこしい話として有名なのが、ダッジの2代目チャレンジャー(1977~1983年)は、三菱のギャランΛ(ラムダ)をOEM生産したもの。

 もしかすると、こんな経緯もあってSUVのチャレンジャーはすんなりと通ったのかもしれませんね。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

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