特徴的な音はそのままで!
それはさておき、「クルマの新しい擬音語」だ。日本ではいまだ隆盛とは言い難いが、増えつつあるEVの走行音は「イーーーーッ」で良いと思うが、もしかしたら「スウィーーーン」のほうが適切なのかもしれない。ここについては、実際に日々EVに乗っている有識者の意見を待ちたいところだ。
また、往年のスバル車の不等長エキゾーストマニホールドによるボクサーサウンドを表現する擬音語は「ドコドコ」「ドロドロ」「ドルルルル」などさまざまなパターンがあるが、これに統一表記を求めるのは困難である。あの音は人によって聴こえ方が異なるもので、そもそも同じスバル車であっても、時代や世代によってボクサーサウンドの音色は異なるからだ。
そして、ランボルギーニ・カウンタックのエンジンを始動させる際の独特のセル音も、「クゥーッ、クゥーッ」的に表記する人もいれば、筆者などは「ギューッ、ギューッ」という音に聞こえるわけだが、これも統一ないし改定は難しい。セル音という機械語(しかもランボルギーニ語!)を人間語へと正確に、かつ共通性をもって翻訳するのは、外国語を日本語へ無理なく翻訳する以上に困難な作業であるからだ。
とはいえ、もしもクルマが登場するマンガ内の擬音語にスーパーリアリズムを求めるのであれば、降雨中の信号待ち時、車内でふたりの登場人物がしんみり語り合っているシーンにおいては、「カンカンカンカンッ!」という雨粒がトタン屋根を叩いているかのような擬音語を描き加えるべきだろう。
近年のクルマは屋根の鉄板を薄くしても強度を保てるようになったからか、それとも遮音材の関係なのかは知らないが、とにかく最近、大きな雨粒がルーフに落ちてきた際の音はきわめてトタン屋根的である。まぁそんなところでリアリズムを追求しても「労多くして功少し」ではあるのだろうが。