好きなクルマで運行できて働き方も自由ってクルマ好きには最高!? 「個人タクシー」を始める方法とは? (1/2ページ)
この記事をまとめると
■「個人タクシー」はタクシー会社に所属せず事業を行う車両を指す
■個人タクシーの事業者になるためにはさまざまな条件を満たす必要がある
■働き方や使う車両を自由に選べるが、車両や運行管理を自身で行わなければならない
個人タクシーを始めるにはどうすればいいの?
街なかを走るタクシーを見ると、タクシー会社のタクシーと個人タクシーが混在していることに気がつくことでしょう。どちらも同じタクシーですが、何が違うのでしょうか? 今回は、個人タクシーになる方法や個人タクシーの営業許可を受け継ぐことができるのは本当なのか解説します。
個人タクシーとは?
個人タクシーは、「1人1車制個人タクシー」とも言われ、タクシー会社に所属することなくタクシー事業を行っているタクシーのことです。個人タクシーとして事業を始めるためには、年齢や運転経歴など、さまざまな条件があります。
一般社団法人 全国個人タクシー協会によると、個人タクシーの事業者になるための資格・要件は次のとおりです。
【個人タクシー事業を始めるための主な資格・要件(一部抜粋)】
・年齢:申請日現在の年齢が65歳未満であること。
・運転免許:有効な第二種運転免許(普通免許または大型免許に限る)を有していること。
・運転経歴:申請日現在で、次の全てに適合していること。
(1)年齢が35歳未満の者
1)申請する営業区域において、申請日以前に継続して10年以上同一のタクシーまたはハイヤー事業者に運転者として雇用されていること。
2)申請日以前10年間無事故無違反であること。
(2)年齢が35歳以上40歳未満の者
1)申請日以前、申請する営業区域において自動車の運転を専ら職業とした期間(他人に運転専従者として雇用されていた期間で、個人タクシー事業者またはその代務運転者であった期間を含む)が10年以上であること。この場合、一般旅客自動車運送事業用自動車以外の自動車の運転を職業とした期間は50%に換算する。
2)1の運転経歴のうちタクシー・ハイヤーの運転を職業としていた期間が5年以上であること。
3)申請する営業区域においてタクシー・ハイヤーの運転を職業としていた期間が申請日以前継続して3年以上であること。
4)申請日以前10年間無事故無違反である者については、40歳以上65歳未満の要件によることができるものとする。
(3)年齢が40歳以上65歳未満の者
1)申請日以前25年間のうち、自動車の運転を専ら職業とした期間(他人に運転専従者として雇用されていた期間で、個人タクシー事業者又はその代務運転者であった期間を含む)が10年以上であること。この場合、一般旅客自動車運送事業用自動車以外の自動車の運転を職業とした期間は50%に換算する。
2)申請する営業区域において、申請日以前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転を職業としていた者であること
・法令遵守状況
(1) 申請日以前5年間及び申請日以降に、次に掲げる処分を受けていないこと。また、過去にこれらの処分を受けたことがある場合には、申請日の5年前においてその処分期間が終了していること。
1)法または貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)の違反による輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分
2)道路交通法(昭和35年法律第105号)の違反による運転免許の取消し処分
3)タクシー業務適正化特別措置法(昭和35年法律第105号)の違反による運転免許の取消し処分及びこれに伴う登録の禁止処分
4)自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(平成13年法律第57号)の違反による営業の停止命令又は営業の廃止命令の処分
5)刑法(昭和40年法律第45号)、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)、覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)、売春防止法(昭和31年法律第118号)、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)、その他これに準ずる法令の違反等による処分
6)自らの行為により、その雇用主が受けた法、貨物自動車運送事業法またはタクシー業務適正化特別措置法に基づく輸送施設の使用停止処分以上の処分
(2) 申請日以前3年間及び申請日以降に、道路交通法違反による処分(同法の規定による反則金の納付を命ぜられた場合又は反則点を課せられた場合を含む)を受けていないこと。ただし、申請日の1年前以前において、反則点1点を付された場合(併せて同法の規定による反則金の納付を命ぜられた場合を含む)または反則金の納付のみを命ぜられた場合のいずれか1回に限っては、処分を受けていないものとみなす。
(3) (1)または(2)の違反により現に公訴を提起されていないこと。
・資金計画
(1)所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。なお、所用資金は次の1〜4の合計額とし、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること。
1)設備資金(を除く。):原則として70万円以上(ただし、70万円未満で所要の設備が調達可能であることが明らかな場合は、当該所要金額とする)
2)運転資金:原則として70万円以上
3)自動車車庫に要する資金:新築、改築、購入または借入等自動車車庫の確保に有する資金
4)保険料:自動車損害賠償保障法に定める自賠責保険料(保険期間12ヶ月以上)、並びに旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた旅客その他の者の生命、身体または財産の損害を賠償するために講じておくべき措置の基準を定める告示(平成17年国土交通省告示503号)で定める基準に適合する任意保険または共済に係る保険料の年額
(2)所要資金の100%以上の自己資金(自己名義の預貯金等)が、申請日以降常時確保されていること。
・営業所
個人タクシー営業上の管理を行う事務所であって、次の各事項に適合するものであること。
(1)申請する営業区域内にあり、原則として住居と営業所が同一であること。
(2)申請する営業区域内に申請日現在において居住しているものであること等の実態が認められるものであること。
(3)使用権原を有するものであること。
・事業用自動車:使用権原を有するものであること。
・自動車車庫
(1)申請する営業区域内にあり、営業所から直線で2km以内であること。
(2)計画する事業用自動車の全体を収容することができるものであること。
(3)隣接する区域と明確に区分されているものであること。
(4)土地、建物について、3年以上の使用権原を有する者であること。
(5)建築基準法(昭和25年法律第201号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、消防法(昭和23年法律第186号)、農地法(昭和27年法律第229号)等の関係法令に抵触しないものであること。
(6)計画する事業用自動車の出入りに支障がなく、前面道路が車両制限令(昭和36年政令第265号)に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、当該私道に接続する公道が車両制限令に抵触しないものであること。
(7)確保の見通しが確実であること。
・健康状態及び運転に関する適性
(1)公的医療機関等の医療提供施設において、胸部疾患、心臓疾患及び血圧等に係る診断を受け、個人タクシーの営業に支障がない健康状態にあること。
(2)自動車事故対策機構等において運転に関する適性診断を受け、個人タクシーの営業に支障がない状態にあること。
・法令及び地理に関する知識
申請する営業区域を管轄する地方運輸局長が実施する法令および地理の試験に合格した者であること。なお、法令および地理の試験の実施については、別に定めるところにより行うものとする。
ただし、申請する営業区域において、申請日以前継続して10年以上タクシー・ハイヤー事業者に運転者として雇用されている者で、申請日以前5年間無事故無違反であった者または申請する営業区域において、申請日以前継続して15年以上タクシー・ハイヤー事業者に運転者として雇用されている者については、地理試験を免除できることとする。
その他 申請日前3年間において個人タクシー事業を譲渡若しくは廃止し、または期限の更新がなされなかった者でないこと。
このように、個人タクシーとしてデビューするためには、さまざまな条件を満たす必要があります。
個人タクシーは営業許可を受け継ぐことができる
個人タクシーとして事業を始めるときには、営業区域ごとに許可が必要です。この営業許可には「新規許可」と「譲渡許可」があります。
【新規許可】
新規許可を受けるためには、営業区域を管轄する地方運輸局に申請し、試験を受けて合格する必要があります。申請時期・試験日・処分時期については、地方運輸局が公表しているため、許可を受ける際には、事前に確認しましょう。
【譲渡譲受】
現在、個人タクシーの許可を受けている事業者からの事業の譲渡を受けることもできます。許可を譲渡譲受する場合には、譲渡人と譲受人の双方で事業の「譲渡譲受契約」を結び、認可を受けようとする営業区域を管轄する地方運輸局に譲渡譲受認可申請を提出します。
ただし、新規許可、譲渡譲受認可申請のどちらの場合でも、「資格要件」を満たさなければ個人タクシー事業を行うことはできません。