エクステリアパーツの完成度は高い
いずれにせよ、控えめグレートーンだが、きっちりカナード翼はボディ近くにまで追い込んだエアロパーツや、Rロゴのホイールキャップまで、エクステリアパーツの完成度は高い。エクステリア同様、アルカンターラ風の起毛素材に覆われたインテリアも仕上がりはリアルだ。4点式ハーネスやステッチの赤も、控えめだがじつに効果的なアクセントになっているし、センターコンソールのダイヤルなどアルミの質感も巧妙に配されている。
「レカロのシートですが、これもいっそ赤にしてハデに見せるやり方もあったと思うんですけど、それだとマツダスピリットレーシングとしてのメッセージが伝わりにくいという判断ですね」。
ひとつ心配は、3点式シートベルトになった際に、赤の面積が減って地味すぎて見えないかというところだが、それくらい大人仕様でいい1台なのかもしれない。
ちなみにTASでは人流が殺到し過ぎて、なかなか開け放てなかったというエンジンルームも覗かせもらったが、ストラットタワーバーというよりブレースで、センターパーツに入れられたMAZDA SPIRIT RACINGのロゴまで仕上げのレベルは高い。
車高調キットにも目がいくところだが、驚くべきはマフラーエンドもともかく、エキゾーストマニフォールドまで暖色系の色合いをした、何やら艶っぽい仕様になっている点だ。エアクリーナーボックスにもRのロゴが入るとおり、吸排気のバランスを整えた調律なのだろう。RFにしか積まれていなかった2リッターエンジンを、200馬力ほどにまで引き上げることが目標のひとつだったと、今回の大阪では複数のスタッフから証言を得られた。
リッター100馬力という、懐かしいキーワードが甦って来るところだが、ただ数値を追い求めるだけでなく、環境性能などでスタンダードモデルから見劣りしないことが必須だったとも、スタッフのひとりは明かしている。
内容的にもスタイル的にも仕上がりという点でも、市販への期待度という点で、とくにマツダスピリットレーシングのロードスターは申し分なく見える。価格は当然、スタンダードモデルとはかけ離れた価格帯を狙うことが予想される。輸入車モデルではスタンダードに対して2倍近い設定のされたスペシャルな公道モデルは珍しくないところだが、マツダスピリットレーシングが、どのくらいの内容で価格を設定してくるか、まだまだ注目のポイントは尽きない。
ちなみにロードスターはビッグマイナーチェンジが施されたばかりだが、マツダ3の方も決してモデルライフはかなり経過していることは確かだ。できれば早い段階で、大人仕様のスポーツカー&スポーツモデルとして発売されることを期待したい。
また、マツダのマーチャンダイズ&オリジナルアクセサリー類は、シックで落ち着いたトーンのものが多いので、不意を突かれて欲しくなるタイプのものが少なくない。日本車の成熟ぶりを代表するブランドとして、マツダの安定感はすこぶる心強いのだ。