仮免許でも「取り消し処分」はある! どんな状況で違反が起こるのか元教習所教官が解説 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■仮免許を取得して公道で交通違反や事故を起こしたときはどうなるのか解説

■仮免中の交通違反や事故は罰則にあたるため免許取消になる場合がある

■仮免中は自主練習するのではなく、教習所で指導のプロに教えてもらうほうが無難だ

仮免許取消の基準は細かく定められていた

 運転免許を取得するためには、仮免許の試験を受けて合格し、仮免許の有効期限内に運転の練習をしたあとに、運転免許の試験を受験して合格する必要があります。では、仮免許の段階で交通違反や交通事故を起こしてしまうとどうなってしまうのでしょうか。今回は仮免許を携帯して運転しているときに違反や事故を起こした場合について解説します。

仮免許とは? 運転するときのルールと条件

 仮免許とは、道路交通法に定められている運転免許のひとつです。そもそも運転免許は、「第一種運転免許」「第二種運転免許」「仮免許」に区分されています。

 また、道路交通法第87条には、運転の練習や試験等を受けるために、仮免許の交付を受けなければならないと定められています。つまり、第一種運転免許や第二種運転免許を取得するための練習や試験等に必要な免許が仮免許ということです。

 仮免許の交付を受け、運転の練習をするときは、練習するクルマを運転できる第一種運転免許保有者などの指導者を同乗させなければなりません。指導者として認められるのは、教習指導員や技能検定員をはじめ、第一種運転免許の取得期間が通算3年以上の人(免許停止期間は除く)や第二種運転免許を受けている人です。

 さらに、運転の練習をするときは、車両の前後(地上0.4m以上、1.2m以下の見やすい位置)に標識(「仮免許練習中」の標識)を付ける必要があります。

 その他にも細かな条件があるため、仮免許の期間中に運転の練習するときは条件を満たしているか確認してから練習しましょう。

仮免許で運転しているときに交通違反や事故を起こすとどうなる?

 仮免許で運転の練習をするときに、条件を満たしていなかったり、交通違反や交通事故を起こしたりすると、罰則の対象となり、免許取消になる場合があります。

 仮免許の取り消し基準は次のとおりです。

【仮免許の取消しの基準(一部抜粋)】

仮免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、その者の仮免許を取り消すことができる。

(1)次のアからエまでに掲げる病気にかかっている者であることが判明したとき。ただし、アからウまでの病気にかかっている場合において、6ヶ月の間自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないと認められるときを除く。

ア、統合失調症

イ、発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気(てんかん、再発性の失神など)

ウ、上記アおよびイのほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気(躁うつ病、眠気を呈する睡眠障害など)

エ、認知症

(2)身体に次のアからエまでに掲げる障害が生じている者であることが判明したとき。

ア、目が見えないこと。

イ、体幹の機能に障害があって腰をかけていることができないこと。

ウ、四肢の全部を失ったことまたは四肢の用を全廃したこと。

エ、上記アからウまでのほか、自動車等の安全な運転に必要な認知または操作のいずれかに係る能力を欠くこととなること(法第91条の規定により条件を付し、またはこれを変更することにより、その能力が回復することが明らかであるものを除く)。

(3)アルコール、麻薬、大麻、あへんまたは覚醒剤の中毒者であることが判明したとき。

(4)仮免許を受けた者が違反行為をし、交通事故を起こして人を死亡させたり傷つけたり建造物を損壊したりしたとき。

(5)仮免許を受けた者が次のアからタまでに掲げる違反行為をしたとき。

ア、救護義務違反(法第117条)

イ、酒酔い運転(法第117条の2第1項第1号)

ウ、麻薬等運転(法第117条の2第1項第3号)

エ、妨害運転(著しい交通の危険、法第117条の2第1項第4号)

オ、無免許運転(法第117条の2の2第1項第1号)

カ、酒気帯び運転(法第117条の2の2第1項第3号)

キ、過労運転等(上記ウに該当するものを除く、法第117条の2の2第1項第7号)

ク、妨害運転(交通の危険のおそれ、法第117条の2の2第1項第8号)

ケ、共同危険行為(法第117条の3)

コ、携帯電話使用等(交通の危険、法第117条の4第2号)

サ、最高速度違反(一般道路は30km/h以上、高速自動車国道および自動車専用道路は40km/h以上超過したものに限る、法第118条第1項第1号)

シ、積載物重量制限超過(積載物の重量の制限として定められた数値の2倍以上の重量の積載をして大型自動車、中型自動車、準中型自動車または大型特殊自動車を運転する行為に限る、法第118条第2項第1号)

ス、大型自動車等無資格運転(法第118条第1項第3号、法第85条第5項から第10項までに係る部分に限る)

セ、仮運転免許違反(法第118条第1項第4号)

ソ、無車検車両運転(道路運送車両法第58条第1項)

タ、無保険車両運転(自動車損害賠償保障法第5条)

(6)上記(5)の行為に係る重大違反唆し等をしたとき。

(7)人の死傷(治療期間が15日以上であるものまたは後遺障害が存するものに限る)に係る道路外致死傷をしたとき。

(8)人の死傷に係る道路外致死傷が故意によるときまたは自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条から第4条までの罪に当たる行為をしたとき

(9)公安委員会から臨時認知機能検査または臨時高齢者講習の通知を受けた者が、当該通知を受けた日の翌日から起算した期間(臨時認知機能検査または臨時高齢者講習を受けないことについて令第37条の6の5で定めるやむを得ない理由のある者にあっては、当該期間から当該事情の存する期間を除いた期間)が通算して1ヶ月を超えることとなるまでに、当該通知に係る臨時認知機能検査または臨時高齢者講習を受けないと認めるとき。

(10)公安委員会から、診断書提出命令を受けた者が、当該命令に違反したと認めるとき、または臨時適性検査の通知を受けた者が、当該通知に係る適性検査を受けない(当該臨時適性検査の通知が仮免許を受けた者から適性検査を受けたい旨の申出があり、その申出に理由があると認めて当該適性検査を行うこととした場合を除く)と認めるとき。ただし、診断書提出命令に応じないことまたは臨時適性検査を受けないことについて、やむを得ない理由がある場合を除く。

 このように、仮免許取消の基準は細かく定められています。仮免許取消にならないためにも交通ルールや練習の条件を守りましょう。


齊藤優太 SAITO YUTA

ライター/インストラクター/ジャーナリスト

愛車
A4 35 TDI
趣味
ドライブ・洗車・音楽鑑賞・楽器演奏
好きな有名人
BLUE MAN

新着情報