「もう何回も参加してます!」 どハマりする生徒が続出
今回話を聞いたのは、昨年モビリティリゾートもてぎで行われたスーパーGT最終戦の「メカニックチャレンジ」に参加していた学生たちだ。忙しいなか、「メカ」「ホスピタリティ」「広報」の分野ごとにそれぞれ来てもらった。
まずは、日産のツナギがよく似合っている1年生の菊田さん。
「将来は自動車関係の仕事に就きたい」という想いを胸に、日産自動車大学校の門を叩いたという。今回の参加では、マシンの出入りの際にピット内の清掃とグリッドウォークではグッズの配布を主に担当していたとのこと。
まだ学校に入って半年そこそこということもあり、現場がどんな場所かイメージが湧かなかったそうだが、いざ参加してみると、あまりの迫力にかなり驚いたそう。今後も「メカチャレ」には参加したいとのこと。
「菊田さんにとってメカチャレは?」と聞いてみたところ、「現場のプロたちを見て自分を発見できる場所です」と目を輝かせて語ってくれた。クルマを通してこのような経験を積めるのが、インタビューしていてとても羨ましい。そんな熱意溢れる青年であった。
次に話を聞いたのが、「ホスピタリティ」を担当する4年生の大澤さん。校長先生や教師陣からは「うちのエースです!」と、話を聞く前から太鼓判を押されるほどの逸材とのこと。それもそのはず、「何回くらいやってるの?」と聞くと「これで7回目くらいです!」との回答が! 激推しされる理由も納得だ。実際、現場では大澤さんのまわりには数多くの生徒が集まり、陣頭指揮を取っていた姿が輝いていた。
そんな大澤くんは、中学生のころに進路相談会を行っている会場内でたまたま「日産自動車大学校」と、「メカチャレ」の存在を知ったそう。そこからすぐに進路は決定! 高校卒業後、そのまま日産自動車大学校に。昔からクルマが好きとのことで、現在はER34型のスカイラインを愛車に、学校で教わった内容を活かして愛車の整備も行なっているそう。
「このジャンルって、整備とはかけ離れてるけどいいの?」と聞くと、「いろいろやりましたが、これが1番楽しいです!」という元気な返答が。詳しく聞いてみると、「このホスピタリティの分野は、訪れるお客様がさまざまな人なので、話をするのがとても楽しくて充実してます」という。
「大なり小なりトラブルが起きるのが現場で、そういった有事の際にどう動くで技量が試されるので、そういったことへの挑戦し甲斐もこの分野にはありますね」と、力強く語ってくれた。卒業後は日産自動車の実験開発を行う分野に進むという。ここでの経験は間違いなく生きるはずだ。こういった青年にぜひ自動車業界を引っ張っていってもらいたいと思った瞬間であった。
最後に話を聞いたのが、「広報」の分野で活動していた岡田さん。菊田さんと同じく1年生だ。この「メカチャレ」の参加は今回で2回目とのこと。これまたクルマとは直接関係ないジャンルだが、岡田さんは「普段は授業でもちろんメカを触ってますが、メカチャレでは広報がやりたくてやってます!」との返事が。
このジャンルの魅力は、ドライバーや監督からファン目線では聞けない生の声を聞くことができるほか、写真を撮ってみたかったので、そういったことにチャレンジできるのも利点なのだそう。岡田さん曰く「この3つのなかだと1番僕にとって人生経験が積める貴重な場なんです」と語ってくれた。
いままでの活動で印象的だったのは、自身で企画した「チーム関係者の勝負飯とは?」といったモノで、これをテーマにKONDO RACINGの近藤真彦監督に直接インタビューし、リポートにしたことが大きな経験かつ思い出になったそう。学校内では、先述した某自動車メディアの編集長が写真の撮り方や取材の仕方も教えてくれるので、とても楽しいし頼もしいと語ってくれた。「この精神を忘れてはいけないな」と、改めて学生から学んだのであった。
そんな学生たちの活動を見守っているのが、日産自動車大学校栃木校で教鞭を振るう高山先生。先生は2019年からこのメカニックチャレンジ全体を統括している方で、普段は1級自動車工学科の3年生の担任も務める。
先生は、「この活動は、1回あたりたった3日間ですが、生徒の成長をダイレクトに感じることができるので、我々教師もすごくやりがいを感じていますし、これが日産自動車大学校の大きな武器だと思ってます。実際にこのメカチャレを経て卒業生がKONDO RACINGで活躍していたり、OBがレースの際に訪ねてくれたりするのも嬉しいですね」と、熱烈に語ってくれた。
「生徒たちもアイディアをいろいろ出してくれるので、現場は常にアップデートされていますし、団結力も高いです。そうしたプラス要素もあって、2022年はGT300クラスでクラスチャンピオンも獲得しています。もう欠かせない活動ですね」。
そんな熱意溢れる日産自動車大学校が独自に行うメカニックチャレンジ。学生たちをインタビューしてみると、どこかに置いてきた熱意を再び呼び覚ましてくれるような感じがした。
今後の活動も引き続き見守り、応援したい。彼らがいる限り、まだまだ日本の自動車業界は明るいはずだ。